香取慎吾さん登壇!<映画『凪待ち』全国縦断完成披露上映会>REPORT | C2[シーツー]BLOG

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川本 朗(カワモト アキラ)▶名古屋発、シネマ・クロス・メディア
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 大ヒットした『孤狼の血』、数々の映画賞を受賞した『彼女がその名を知らない鳥たち』など、多数の話題作を世に送り出し、現在、日本映画界の期待を最も集める監督・白石和彌が、待望していた香取慎吾と初タッグを組むオリジナル脚本作品。新しい香取慎吾を描くべく、白石監督の構想を、『クライマーズ・ハイ』『ふしぎな岬の物語』などの脚本家・加藤正人が、「喪失と再生」をテーマに重厚な人間ドラマに昇華した。

 

 

 主人公を演じるのは、『クソ野郎と美しき世界』などで俳優として活躍するだけでなく、カルティエ(Cartier)のブティックにアートを展示するなどアーティストとしての才能も発揮する香取慎吾。本作で演じるのは、パートナーの女性とその娘・美波と共に彼女の故郷、石巻市で再出発しようとする男・郁男。平穏に見えた暮らしだったが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう。人生につまずき落ちぶれた男の再生の物語、誰も見たことない香取慎吾香が、“堕ちる所まで堕ちきる男”を体現する。

 

 

 今回、<映画『凪待ち』全国縦断完成披露上映会>が、6月18日(火)より名古屋を皮切りに行われ、TOHOシネマズ名古屋ベイシティの舞台挨拶に主人公を演じた香取慎吾さんが登壇!

 

 

<NOW WRITING>

 

INTERVIEW

 

 

Q:白石和彌監督の撮影前・撮影後の印象を教えてください!

 

香取慎吾(以下、香取):綾野剛さんが『日本で一番悪い奴ら』の番宣ゲストとして、番組に来られた時に映画を拝見しました。正直、監督がどういう方なのかは、その段階では知りませんでした。今回の話をいただいた時に、『凶悪』を観させていただき、『ヤバイ監督だな!?』という印象を持ち、一度会って話すという直前に『孤狼の血』を観たんです。いざ、ご対面という時は心臓がドキドキでした。作風から想像すると、とても怖い監督のイメージだったんです。でも、会った瞬間に出た監督からの第一声が『いつか、香取さんと絶対ご一緒したかったんです!』でした。それを聞いて、すごく安心しました。この映画の前に『クソ野郎と美しき世界』を、稲垣吾郎と草彅剛と僕の3人で撮影しました。『クソ野郎と美しき世界』は、どこかお祭り的な感覚があったのですが、今回の『凪待ち』は、新しい道を歩み始めてから1人で挑んだ役でしたし、今までに感じたことのないプレッシャーを背負っていたんです。そういうこともあって、監督からいただいた言葉で、一気にその重圧から解き放たれ、撮影現場では、白石監督のことがますます好きになり、白石作品に参加できたことが自分にとって、とても貴重な体験となりました。今では、自分の映画だからというプレッシャーはほとんどなく、白石監督の素晴らしい作品に参加できた幸せを感じつつ、完成した作品を少しでも多くの方に観てもらいたいという気持ちでいっぱいです。

 

Q:現場を共にして感じた白石和彌監督作品の魅力とは!?

 

香取:現場では監督の指示で役者は動くのですが、僕個人としても現場で気になるところがあったりします。白石監督は、僕が心の中で思った瞬間に、僕の心を読んでいるかのごとくそれを指摘してくれる監督さんなんです。例えば、大勢のエキストラさんがいる中で僕が演じている時、僕から一番奥で動いているエキストラさんの動きが気になるとします。そんなことを感じつつ、リハーサルから本番へ!その時『ちょっと待った!』の声が監督からかかり、僕が思っていたエキストラさんの元に歩み寄り、気になっていた動き方を正す指示を出すといったことがあったんです。そんな監督の姿を見ると、僕の心を読まれているような気がしました。そんなことが何回かあり、気になるポイントが合うというか、同じ感覚を持った監督さんなんだということが嬉しかったですね。

 

Q:これまで演じたことのない役だったと思いますが、どんなアプローチをされたのですか?

 

香取:僕は、いまだに役作りというものがよく分かっていなくて、それこそ台本を読み込んだりするタイプではないので、現場の空気と、監督の演出、監督の言葉に耳を傾けて体現するだけなんです。事前にしっかりと準備をすることもないので、役を前にして難しいと思うこともありません。本番という合図で、監督が求める以上の力を出すだけなんです。

 

 

Q:見た目のルック、表情のヤサグレ感が半端ない印象でした!

 

香取:映画のポスターが発表された時、SNS上で『こんな顔見たことない!』と、みなさんがつぶやかれているのを見ました。その反応が不思議で、だって僕にとっては一番よく見ている顔なんです。寝起きはヒゲも生えてるし、髪もボサボサだし、自宅の鏡で見ている顔はいつもこんな感じ。30年以上、ヘアメイクさんやスタイリストさんに支えられ、人前に出る時は綺麗にしてもらっていますが、自分自身としては、こっちの素の顔を見ている方が多いんです。アイドルとして生きてきた自分のお茶の間での印象が、これだけ自分とかけ離れているのが、ちょっと面白かったですね。40歳を超えた生身の体で、人としてスクリーンに映しだされる時、30代とは違う等身大の生き様が、多少は役に反映されているんだろうなと、自己分析してみて思いました。

 

 

Q:共演の方々もそれぞれの持ち味を存分に発揮してました!

 

香取:みなさん技術のある凄い役者さんが集まっていたので、その力でずっとそこに立っていられた気がします。娘の美波を演じた恒松祐里さんは、撮影当時19歳だったのですが、自分が19歳だった頃とは比べものにならないくらいプロフェッショナルでした。本当の娘ではないという設定でもあるし、僕が演じた郁男は、心を開いていない男でもあるので、父親のようであり、友達のようでもあり、接し方をどうしようかと迷っていたんです。ハイタッチのシーンがあるのですが、ちょっとした間であったり、セリフにはない言葉だったりが彼女から自然に生まれてきて、あの年齢で、まして初共演で、あそこまで戸惑いもなく演じられることが凄いと思いました。みなさんの演技に引っ張られながら、出来うる限りの演技をしたつもりです。

 

 

Q:印象深いシーンがあれば教えてください!

 

香取:お祭りの乱闘シーンは、エキストラの方が300名以上参加し、監督からは夕景狙いで1カットで撮りたいという意向が出され、キャスト&スタッフ、そしてエキストラ&街が一丸となって取り組みました。OKになった瞬間に、集まったみんなから拍手が湧き上がり、達成感と一体感を味わえた思い出深いシーンとなりました。あと、監督と意見が一致したシーンは、外で一人で缶ビールを飲むシーンですね。それは役ではあるのですが、自分の人生の中で一番美味しくないビールでした。監督も印象深いシーンだと言ってくれました。思い出すと辛い想いが蘇ってきますが、印象深いシーンです。

 

 

『凪待ち』 PG12
2019年6月28日(金)より TOHOシネマズ名古屋ベイシティ/ミッドランドスクエア シネマ/

ユナイテッド・シネマ豊橋18/TOHOシネマズ木曽川/TOHOシネマズ赤池 /TOHOシネマズ東浦/ミッドランドシネマ名古屋空港 ほかROADSHOW

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