バルセロナで今月17日に起きたテロには他のテロ事件以上に驚きました。
というのも、事件の起きたランブラス通りを数日前に歩いていたからです。
結婚30周年ということもあり、また会社から勤続表彰の休暇と旅行券をもらえたので、妻とスペイン旅行のツアーに参加しました。
初めてのスペインで、マドリードに入り、コルドバ、セビリア、グラナダ、ミハスと回って最後の2泊がバルセロナでした。
スペインは国土の大半約800年間イスラム教徒に支配されたのち、カトリックの王が奪還(レコンキスタ:再征服)したという歴史があり、コルドバのメスキータ、グラナダのアルハンブラ宮殿など壮大なイスラム建築の名残が数多くあります。
大規模な戦いが多くあった一方、カトリック教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒が共存していた時期も長く、ヨーロッパの中ではイスラム諸国との関係は良い方で、イスラエルを承認したのが遅かったことも関係がある、と聞いていました。
私の参加したツアーには、フランス、ドイツなどよりテロの恐れが少ないからスペインに来た、という日本人観光客が何組かいました。
事件のあったランブラス通りはバルセロナの中心であるカタルーニャ広場から港へ向かう繁華街で、現地のガイドによると1年中、24時間人通りが絶えない賑わいがバルセロナ住民の自慢のひとつだそうです。
私が妻と歩いたときも本当に人が多く、東京で言うなら銀座4丁目に原宿の竹下通りを重ねたような感じでした。
バルセロナ在住40年という日本人ガイドに聞いたところ
「最近のスペインはヨーロッパの他の国よりテロは少ないが、テロの予兆や情報はあるようで警察はいろいろなところに出向いて警戒しているようだ」
とのことでした。
「彼ら(テロリスト)はやるとなったら目立つところでやるでしょうから…」
という彼女の言葉を聞いた5日後に、それが本当になってしまいました。
そんなことが起こるとはもちろん知らずに観光を済ませ、13日にイベリア航空の成田直行便に乗りました。
機中で見た映画のひとつは南アフリカを舞台にした有名な「インビクタス」。
人種差別反対運動に身を投じ27年間を獄中で送ったのち南アフリカ初の全人種参加選挙を経て大統領になったネルソン・マンデラのせりふが印象に残りました。
モーガン・フリーマン扮する就任後間もないマンデラ大統領が、自分たち黒人を虐げてきた白人とともに行動することを拒絶する部下をこう諭す言葉です。
「ゆるすことは最強の武器なのだよ」
ささいなことで腹をたてたり敵愾心を持ったりする自分への戒めにしなくてはならんナ、とあらためて思いながら見ていました。
終戦の日をはさんで、今回のテロ、アメリカの人種対立や歴史認識に関する気鬱なニュースが続いています。
マンデラの叡智を実現するのがどれだけ難しいことか、思い知らされます。
亡くなられた方たちのご冥福をお祈りしたいと思います。