昨日、南房総市の
白浜フローラルホールにおいて
私立中学校1.2年生対象の
生涯学習芸術鑑賞会
和泉流宗家による狂言教室が行われました。

恒例の事業ですが
先月の台風15号の影響などもあり
開催の有無を確認したところ、
「予定通り行いたい」という
強い意志と希望を感じられる
ご返答をいただきました。

平成の大合併前からご縁があり、
千葉県安房郡丸山町時代に
(現、南房総市白子)
ローズマリー公園
シェイクスピアカントリーパーク
において、薪狂言やホール公演など
60回を超える狂言会も行い、
「和泉流宗家記念館」も建てられました。

20年来のご縁のうちに
多くの皆様にお世話になり、
そこに住む人々の優しさや温かさ
南房総の景色や食べ物
たくさんの魅力に触れてきました。

災害のニュースに触れ、
お世話になった皆さん顔が浮かび
直ぐに当方理事長から連絡をさせて頂きました。

何かできることを!
との思いでした。


かくして、今回の
予定通りの実施となったのですが、
開演に先立ち、
南房総市の方がご挨拶をされました。

当然、災害の話題に触れられたわけですが
中学生の皆さんの活躍を列挙され
家族のため、周りの人々のため、地域のために
頑張った様子が伝わり、
舞台袖で目頭を熱くして聞いておりました。
(「自助」「共助」の実践ですね。)
そして、
「こうして無事に生きて、顔を合わせることができて…」「この時間を少しでも楽しんで…」とお話しされた時に
改めて被害の大きさ、その環境下に置かれた人々の厳しさを実感し、開演直前に涙を堪えました。

狂言が、
自分たちの演じる舞台が、
少しでもみなさんにとって
素敵な、特別な時間であるよう
つとめました。


解説内のクイズには、
皆さん想像力を働かせては
手をあげて答えてくれました。
狂言の上演にあたっては、
屈託のない笑い声が帰ってきました。
お稽古体験では、
生徒、先生、市の職員の皆さんが
息を揃え、声をそろえて
大きな声を返して下さいました。

舞台と観客席が共に
良い時間を共有できる時間でした。
最後にご挨拶メッセージをお届けしました。

この環境下での実施!
大変な時だからこそ
少しでも、予定通り、いつも通り
当たり前のこと、当たり前の時間を
生徒の皆さんに作ってあげたい。
主催である、市の職員の皆様、
先生、保護者
各所スタッフの皆さん
そして、我々狂言師…
大人たちの想いは一つでした。





公演前日、仕込みの為
ホールを訪れ、スタッフの皆さんと
舞台の設営をしました。

久々の再会の喜びと共に
お見舞いを申し上げました。


長年お世話になる舞台監督さんの家は
ピーク時の10分で300枚の瓦は飛び、
屋根が音を立ててなくなったそうです。


そして、
和泉流宗家と南房総とのご縁が始まった当初からお世話になる方は、ご自宅の被害はなかったそうですが、深く携わる莫越山神社では
倒木が酷く、4トントラック8台分を
運び出されたそうです。


また、
房総半島最南端に位置する今回の会場である
フローラルホール横の施設で作業をする男性に
「こんな状況下で、子どもたちのために
ありがとうございます。よろしくお願いします。」とお声掛けいただき、恐縮したものです。
その施設は、支援物資のベースになっているようで、刻々と状況は変わっているというのです。

やはり、
ニュースに載らない被害が山ほどあるなど
生の声を聞いて胸が痛くなりました。
その話をされる方々が皆
前向きで、元気な笑顔をお話をされる事が
救いでもあり、辛くもありました。


そして、今回の台風19号襲来…


仕込みの帰り道、
コンビニエンスストアに寄ると
明らかに普段と違う景色が。
店内通路には、
2リットルの水、カップ麺、おでんのパック等々が段ボールごと積み上げられていました。
レジ前には、
カセットコンロのガスや乾電池、
携帯電話用簡易充電器が沢山
並べられていました。
既にパンの棚はほぼ空。

まだ都内がそのような状況ではない2日前の事です。

御年配の方もそれらを多く手にとっていらっしゃいました。
やはり、経験者は被害の厳しさ
準備の大切さを知っての行動であると
頭が下がりました。



どうか、どうか皆さんが無事であることを
被害が最小限であることを
心から願っております。
私共も十分に気を付けます。