若くして演じる。

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若い=青い

では、演じる意味がない!
大失敗です。


年老いてこの曲を演じるのは、
それだけで価値があります。
体力的にも決して楽なものではないですから。
そして、重ねてきた年月、芸を持って舞台に立てば
出来上がるものがある演目かもしれません。



演じるという事をしなくても
成ってしまうのは、
それだけで存在できてしまうのは、
積み重ねてきたものがあればこそ。



けれどもそれを
演じるということだけで魅せることができれば
それも立派な芸ですよね。



父はそれをやってのけました。
40代で一子相伝「狸腹鼓」に次いで
極大習としておかれる三曲。

「庵の梅」「比丘貞」「枕物狂」

三老曲ともいわれるように
三曲とも老人をシテとして描いた大曲。
能の三老女に比してそういわれます。



私の師匠、ただ一人の狂言の師
先代・十九世宗家和泉元秀。
歴史上ただ一人254曲全曲完演をした狂言師です。



他人にも厳しく
自分には更に厳しい宗家でした。



いつまでのその背中を追い続けている。
だからこそ先代の二十三回忌追善公演である今回に
43歳の私が「枕物狂」を披き
昭和57年にこの曲で優秀賞を受賞した文化庁芸術祭に
参加するのです。



受賞を狙う訳ではありません。
本人がいなくなった今、このような形でも
先代を追いかけたいのです。



そして、追い越してこそ
師匠への恩返しができると
信じて稽古を続けるのです。



ただ、この秘曲
苦しみよりもワクワクが止まりません。




素晴らしい曲を作り、残してくれた先人
そして、素晴らしい背中を見せ続けてくださる先代に
感謝!




舞台の上で恩返しさせていただきます。