人がそこに生きていた。
懸命に生きて、死んでいった。
歴史は人の生きた証。
天下をきわめ、
天下人の景色を見ていたのに…
父はどこまでいっても偉大だ……。
僕は、
秀頼(秀吉の嫡男・豊臣家最後の当主)も
勝頼(信玄の嫡男・武田家最後の当主)も
足利義昭公(室町幕府最後の将軍)
愚かな人々では決してなかったと信じています。
一つの家、一つの時代、一つの歴史の
幕を閉じるのは、並大抵のことではありません!
当たり前に広がっていた景色が
目の前で崩れていく…。
街も、城も、人も…
正に、「世の流れ、人の心の移ろいじゃ…」
今朝、本番前に……
当時は、世を見下ろして…いや
極楽橋…。
歴史を知る私たちが
陽に浮かぶ天守閣とは対照的に…
石垣、
木々の翳りの中に
家臣たちの
生きながらえて豊臣家を……。との願いを背に
櫓にひそんだ幾時、
母子はどんな気持ちだったでしょう。
いつの日か、豊臣家の再興を…と、
最後の最後まで生きることを考えたでしょう。
しかし、敵に首を取られるのは恥辱!
もはやこれまで…と、自分一人の命ではなく
豊臣家の最期の幕引きを
この場で……。
こんな格好ですみませんでした。