テッペンまわりました。
本っ当、芸の道に終わりはありません。

夜中の十二時を過ぎることを…
時計の一番てっぺんを過ぎる事によそえての表現です。


弟子や子どもたちの稽古を優先すると
大人の稽古は遅くなります。
今回の狂言ライブの稽古は
早い内から磨く稽古に入れました。
その分、終わりが…。
芸を磨くことは
終わりがありませんから。

この作業が楽しく思える!

人を磨くことは
責任もあるから緊張もしますが、
引き上げる作業なので
しっかりとついてくる、成長する姿に
励まされたりもします。

自分磨きは…
でも、
それでなければ磨けないことがあります。
師匠がいる中では磨かれていかない芸が。

父がよく口にしていた
「教えないという教え方が一番良い!」
いきなりの
「見ていただろう。出来て当たり前だ。」も。

父の生前中に見てきたもの。
真剣に観てきたもの。
即座に消えてしまう無形の芸術を繋ぎ止めるのは心の中だけ…。
父が亡くなって、
「今が究極の『教えないという教え方』なのだ」と自分に言い聞かせて
精進し続けています。

父の相手役を務める中で覚えた演目。
自分の中に生きている父の芸に
少しでも近づき
そして越えられるよう
一回一回の稽古、
一回一回の舞台を大切に。

勿論、明後日の「川上」も。

本当に深く、おもしろい曲ですから。