4冊目。

誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる 』 フランシス・ウェスリーら著


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事例のほとんどから典型的なストーリーが見えてきた。

活動低で思いやりのある人物が、社会問題に心を痛めるようになる。その人物がこれは放っておけないと心を
決める。物事の可変性が、変化の可能性を生み出す。-かもしれないを生み出す。
可能性の誕生とそれを認識する瞬間、これが第二章のテーマだ。

行動を決意することによって、この人物は社会企業家と呼ばれるものになる。事例から言える事は、最終的
に成功する人々は、状況や自分の不満の原因になっているシステムを十分に理解することから出発している
ということだ。彼らはまず「静思の時」(第3章)を過ごす。観察し、考え、分析し、熟考し、そして行動
もする。いまいる場所、いまの自分、味方はどこにいそうか、どの程度の変化が必要かを見極める。そのとき、
既存のシステムーまさに彼らが変えようとしているシステムーから恩恵を受け、それおを守ろうとしている
堅固な力に遭遇する。そして、この「強力な他者」(第4章)と遭遇することによって、彼らはイノベーション
に欠かせない資源を発見し、再構成し、解き放つ。

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「みんなが変わり・・・私が変わりました・・・」
この言葉は、おそらくソーシャルイノベーションにおける特徴的な傾向を表している。それは「何かを変えよう
とすることは、自分自身の変化を受け入れるということだ」という逆説だ。

人と世界はいわば、共進化(複数の生物体が相互に作用しあって同時に進化すること)している。人は
システムの一部であり、完全にシステムの外にいることはけっしてない。内省と自己表出が求められる。

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複雑系の理論でいえば、成功の理由は、彼らが馬にまたがる将軍のように舞台を率いたことよりも、
彼らの行動が新たな相互作用のパターンを示し、それを誘発したことにある。要するに、彼らはストレンジ・
アトラクタをつくりだし、強化もしたわけだ。

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ソーシャルイノベーションの成功者の資質における共通点は、特に、自分の直観、つまり自分の問題意識を
信じ、行動しながら学ぶという点で共通していた。

要するに、沈思黙考と行動を両立できるのだ。これは滅多にあることではない。一般に、私たちは沈思黙考と
行動が分離した文化に住んでいる。

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あらゆる種類の組織が同じテーブルにつき、知識を共有する必要があった。しかし、これは長年の対立と
不信のせいで難しかったため、違いを乗り越えて協力できるように、シールが彼らの間に立った。ここでも
また権力が問題だった。科学者は研究に関してはエリートとみなされていたが、不完全だから未発表だから
といって知識の共有を図ることを嫌がった。政府機関は法的権力をもっており、NGO、特に欧米のNGOはメディア
に近く、世論を動かす権力をもっていた。しかし、最終的に種を管理するのに最適な立場にいるのは現地の
野生動物保護管理官だった。彼らはもっとも力をもたない集団だった。

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何かを得ようと没頭する時、私は不平不満を言う事には時間を割きません。ものごとがどう動くのかを
観察します。自分自身が信じていれば、人を納得させられると子どものころから知っていました。ですから、
周りを良く見て、意思決定プロセスを支配している。説得しなければならない人物が3人いることを
把握しました。

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複雑系の科学では、これは、(部分の単純な総和としては)予測できないものごとが起こるという意味で、
「創発」と呼ばれている。創発は、要素間の相互作用の結果として生じ、いかなる行為者(システムの
構成要素のうち、特に主体性をもつもの)のコントロールも及ばないように見える。

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ミンツバーグ

人が状況から学習する能力を持ち、その能力を支える経営資源があるところなら、どんな場所でも戦略は
根を張る。これらの草の根の戦略が集合し、組織全体のふるまいを導くほどに繁殖するとそれは組織化された
戦略へと姿を変える。

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ミンツバーグ、ジェイコブ、クルーグマンは、この世界で作用しているものは何かを観察し、そして、それが
なぜ作用しているのかそ問う。この視点からSIを見ると、変化を生み出す達人は、相互作用のローカルなルールを
明確に理解し、それを強化して、その潜在能力を高めるのだということが見えてくる。ムハマド・ユヌスは
最下層の人々を支えるシステムに変化をもたらした時、ローカルなルールを理解しつつあった。ユヌスと教え子の
大学院性は、自然な人づきあいをしている女性は互いに技能を教え合っており、また「正直」「勤労」
「助けあい」等、価値観をも教え合っていることを知った。女性たちの間には、社会的関係を健全に保っている
暗黙の行動規範があるとユヌスは見抜いたのだ。

成功する社会企業家の多くは、このようなルールを理解していく中で、万人に共通する関心事に触れるように
なる。

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複雑系の理論によれば、大きな変化は小さな行為から創発しうる。可能性のあることはもちろん、「不可能」
なことさせも、起きるかもしれないという。それが「頭は空高く」の面だ。それでは「足は地につける」の
法はどうらろうか。

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創発は長い間検討し、育ててきたものごとから生じます。仕事が新しいチャンスの幕開けに向かって進んでいるか
、あるいは何度も何かについて話し合い、戦略を練ったか、どちらかが事実なら道を誤ってはいません。
そこにチャンスがあれば、それに賭け、それをやる。人はそれを衝動だと考えますが、まったく正反対です。
それは戦略的なのです。

3冊目。

『複雑系のマネジメント』 週刊ダイアモンド編集、ハーバードビジネスレビュー編集部編集



★創発型マネジメント★
複雑系の市場においては、異業種企業間で戦略的提携を組むことが重要な商品開発戦略や市場開拓戦略となってきている。
「ベスト・オブ・エブリシング」や「ドリーム・チーム」を標榜とする「仮想企業体(バーチャル・コーポレーション)
とおう戦略が注目される理由はまさにここにある。

このような状況において企業に求められる先鋭的な能力は
①コア・コンピタンス
②戦略的提携力


★自己組織化とポリエージェント・システム
企業なり、産業なりあるいは国家なり、様々なレベルのポリエージェント・システムのマネジメント論の
構築が必要と思われます。複雑系の研究において、特に社会科学の領域では、この複雑系、言い換えれば、
内部モデルを持ち、相互参照といったコミュニケーション活動を行う高次に機能分化した自律主体の集合である
ポリエージェント・システムという考え方が重要になっていくと思います。


2冊目。以前、友人が強くすすめていた本。

祝福を受けた不安-サステナビリティ革命の可能性』 ポール・ホーケン著


以下、メモ。


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◆「人間の権利はビジネスの権利よりも勝っていると言えるのか。あるいは、逆が真なのか。」



◆国際化(Internationalization)とグローバリゼーション(Globalization)の違い


「国際化:各国は独自の基準を設け、他国とのビジネスにおいては両国の基準のすり合わせをしっかり行おうとする。悪用する国があることはいつものこと。その点でアメリカは劣等生。民主主義が浸透するに伴い、国際化は人々に自分独自の方針を築かせ、意思決定の仕方を覚えさせ、自分たちの未来を自ら切り拓いていけるようにする。」


「グローバリゼーション:世界全体を一つの基準に当てはめようとする。県内に流れる資本や商品の都合が国の法律より優先してしまう。グローバリゼーションが国、州、地域、村を支配するようになる。ナショナリズム(国家主義)の力が弱まるのは良いことであるが、だからといって、わがもの顔の企業に支配者の椅子を乗っ取られる自治の弱体化はいかがなものか。」



◆「民主主義が悪用されないためには情報豊かで活動的な市民を必要とするように、市場がゆがめられたり、搾取されるような悪い方向に行かないためには、継続的な手入れが欠かせない。自由市場といえば理論的には耳当たりが良いが、現実には法貫の社会よりも実行困難だ。民主主義において自由を維持するためには市民や政治家がたゆまず調整し、維持の努力を払い、必要に応じて、基準、ルール、法律を強化することでようやく実現する。市場は「自由」に放置しておくと、頑張って払った努力への見返り、イノベーションを育む土壌、資源の再配分で不平等にならざるを得ない。市場競争は突き詰めると財務資本マターであり、優位に立とうと思えば、やはりそこは金次第なのだ。しかるに、社会資本や自然資本を改善しようとするとき、そこに市場競争で見られるような「競争」というものはない。そもそもこの分野において、ビジネスでおなじみの単純な形で「市場」は存在しないからである。法律、規制、市民活動、消費者からのプレッシャーの中に社会資本や自然資本の問題が存在するのだ。よって、市場に制約を設けている法律や規制を取り除くと、その国の国民にとっては経済上の民主主義を増進するための手段がほとんどなくなることを意味する。世界のあらゆる経済圏において不可欠な生命源となる、貧困層、原生林、成層圏、エコシステムの実行可能性は、市場システムの中では何の力も持たない。声を出さずに寡黙だ。声を上げるのは市民組織だが、往々にして無視されるか、資金を提供されて骨抜きになる。」



◆「WTOの方針は4つのタイムフレーム(時間枠)に関わり、影響を与えている。しかしながら、WTOの頭の中にあるのはわずかに一つだけだ。それは、私たちの時代を支配するタイムフレーム、「ビジネス」のみである。ビジネスは、敏感で、イノベーションを歓迎する。そして、変化も好ましく思う。資本市場とグローバリゼーションの統合の影響で、かつてないほど急速な速度で成長することが求められている。果たすことが出来なければ罰せられ、場合によっては倒産までしてしまう。最高のリターンを求め、世界を股にかけて軽々と移動する一日二兆ドルもの資金を操る投資専門家たちによって、企業も投資も、簡単に報われたり、ペナルティを受けたりする。

第二のタイムフレームは文化。動きはスローだ。なぜなら、文化面で革命をしようとすると深くて確固とした信念に抵抗されるものだから。ペレストロイカ時代、最初に花開いた組織はロシア正教会である。文化の変化はスローだ。そのスローな変化の中でこそ、家族、コミュニティ、宗教が繁栄できる。文化はアイデンティティを安定させる。この移動と根なし草のはこびる高速変化の世界において、船の錨のような重要な役割を果たす。

文化とビジネスの間に、第3のタイムフレームがある。統合(ガバナンス)だ。文化より速く、ビジネスより遅い。そして第4の最もスローな時間軸は地球、自然、そして生命ウェブだ。か弱く、最もスローで、時は常に現在、あるか太古から連綿と続く進化のサイクルの中にあって、あらゆる文明の基盤となるものだ。自然は最も寡黙だが、最も回復力に満ちている。」


◆「私たちに未来への希望をもたらしてくれるのは、「人間らしさ」の集合体であるが、その特徴は、どこか一点に中央集権されている集合体ではない。というのも、何か一つのイデオロギーが傷ついた世界を癒してくれることはないからである。人類の歴史を振り返ってみても、ひどい状況を多少緩和する以上の働きをしたイデオロギーなど出現したことはない。イデオロギーでは根本的な治癒には至らないのである。免疫システムは人体で最も複雑なシステムであり、その人体は地球上最も複雑な有機組織体だ。そして、最も複雑な有機組織体こそが人類の文明なのである。

そして、運動こそ、世界初の最高に複雑な人間組織の共同体だ。アナーキスト(無政府主義者)、億万長者の投資家、街頭芸人、科学者、若き活動家、農民、学生、てんでバラバラなメンバーが、共通の目標に向けて働いている。この姿こそが、人間を突き動かす、前進への推進力の証拠だ。この衝動はもう誰にも止められない。永遠に続く。」