わたし | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

水の音、風の声、花のささやき、土のにおい、私たちの周りには呼びかけが溢れています。少しだけ立ち止まり、感じてみませんか。

心がやさしくなるような気がします。

どうぞ、心豊かな一日でありますように。

 

 

「わたし」

 

  a

 

立ち止まったら

見えるかもしれない

 

いいえ

ぺっしゃんこになり

 

もしかしたら

死ぬこともできなくて

 

見えてくる

かもしれない

 

わたしを

生きてくれている

 

いのちの

すがたが

 

  *

 

いつだったか

唖然としたのは

 

いつだったか

息を飲んだのは

 

いつだったか

まさかと疑ったのは

 

いつだったか

思いっきり殴られたのは

 

木は

生涯

 

そこから動けない

と知った時

 

  *

 

あなたは

訪れたのかと思っていた

 

弱いものの

味方になって

 

小さいものを

助けるために

 

だけどあなたは

あっけらかあんと

 

だれでもなく

みんなにまったく

 

おんなじだけ

わけてくれていた

 

  b

 

あたしは 人見知り

にこりともしない

 

わざとらしいのは

好きじゃない

 

だけど

人目を気にしてる

 

ちっぽけな やつ

ちっぽけな やつ

 

ちっぽけなあたしが

雨の日には

 

もっと 

ちっぽけになる

 

ぬれると

芯まで みすぼらしくなる

 

無い知恵を

しぼりしぼり生きている

 

なんとか

なるだろうと生きている

 

何どもなんとか ならなかったけど

そのたびに 生きている

 

あたしは 人間

ひどく 不器用

 

いつも ほしくて

なあんにも 持ってない

 

  *

 

でもね あたし

あなたに出会えたもの

 

ひとりじゃ

生きられない

 

だから

自分のまんま

 

  c

 

夏の朝

風が涼しい

 

木々を

抜けて

 

遠き世界から

吹いてくるよ

 

  *

 

緑たち

生き生きと

 

さらに

濃く

 

いのち

沁みだし

 

  *

 

日に日に

色づく

 

あの実の

名前は

 

どうしても呼びたい

あなたのことを

 

  *

 

そうわたしには

歩いてきた人生があるじゃない

 

出会って知った

いのちたちがいるじゃない

 

最期までこの道を歩こうとする

わたしがいるじゃない

                 motomi

 

※ まだ受け取り切れていないものが、たくさんあるようで。