季節のにおい | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

冬が来て夏が来て巡る季節。それでも一日、ひと時、一瞬の積み重ね。

出会いの一つ一つで人生は出来上がっています。今日も可能性に満ちています。

猛暑に向かいます。体調に気を付けてお過ごしください。

どうぞ、心穏やかな一日でありますように。

 

 

「季節のにおい」

 

  A

 

かすかに揺れる

笹の葉に

 

いのちが

灯る

 

わが肉体の

奥を照らすように

 

闇は

季節の中で

 

静かに

明けていく

 

  B

 

息を

吸いこむと

 

夏のにおいが

した

 

青臭いような

透き通ったような

 

なつかしいような

はじめてのような

 

思わず

少女になって

 

いつもの道を

かけだしていた

 

  C

 

さるすべり

燃える

 

鮮やかに

さあっと

 

体を吹き抜けて

夏本番

            motomi

 

※ いいときも、よくないときも、深呼吸すれば新鮮な息。