【報告】3月27日(水)に第74回水曜行動in新宿を行いました | 川崎から日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民の会

 

皆さま

一昨日(3月27日)、第74回水曜行動in新宿を行いました。

大雨の中で行った2月の行動とはうって変わり、晴天の下、25名が参加してアピールしました。

前日には平和主義を逸脱した次期戦闘機の輸出を閣議決定で決めた岸田政権が戦争への道を進める中、日本軍「慰安婦」被害者の強い平和への想いを改めて訴え、「慰安婦」問題、強制動員問題の一日も早い解決をと訴えました。

発言は、①強制動員問題について:矢野秀喜(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動)

    ②月間報告:池田恵理子さん

    ③サバイバーを記憶する~台湾の被害者、盧満妹(ル・マンメイ)さん~:柴洋子さん

    ④飛び入り発言:若者

発言内容は、添付をお読みください。「サバイバーを記憶する」は、後ほど全国行動のHPを見てください。発言の最後には、飛び入りで若者が発言。日本の今と「慰安婦」問題について鋭い発信を行いました。

配布したリーフでは、徴用工問題について記載(リーフの執筆者は、川崎の岡田卓巳さんです。ありがとうございました)。狭いところでのアピールのためか、あまりリーフの受け取りは良くなかったのですが、150枚を配布しました。

参加された皆さん、お疲れ様でした。川崎からは7名もの方が参加!感謝、感謝です。

来月は、4月17日(水)12時半から、新宿西口・小田急百貨店(工事中)前、です。よろしくお願いします。

<2024年3月27日(水)第74回水曜行動in新宿
矢野秀喜さん(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動)の訴え>

 

今日は、日本の戦争、植民地支配が残した問題、傷跡、その一つが日本軍「慰安婦」問題ですが、もう一つ大きな問題として戦時中の労務動員、元徴用工、元女子勤労挺身隊の人たちの問題があります。それについて、皆さんにお話ししたいと思います。
 

昨年から今年にかけて日韓の関係は、一時のとげとげしい関係から関係が良くなり、特に日本の岸田首相と韓国の尹錫悦(ユンソギョル)大統領は昨年は7回も首脳会談(日本だけではなくアメリカでも、リトアニアでも会談)をして、日韓友好をその度に確認して日米韓で連携してやっていこうと言っています。その意味で日韓関係は劇的に変わったと言っても言いわけです。
 

では、一時は国際会議の場で日本の首相と韓国の大統領は顔を合わせても挨拶もしないような関係だったのが、一年に7回も親密に会談するというような関係に変わったのは何故かといえば、日韓関係を険悪化させたと言われる徴用工問題、強制動員問題について、昨年の3月に韓国政府が「解決策」というものを出したからです。その韓国が出した「解決策」はどういうものであったかと言えば、日本企業が日本の政府と一緒になって「戦時中に強制動員しました、強制労働させました」とその不法行為の責任を問われて、日本企業は韓国の裁判所で賠償しなさいという判決を受けていたのですが、その賠償命令を受けた被告企業、例えば日本製鉄、三菱重工、不二越は、本来は被害者である原告に賠償しなければいけませんが、そうしなくて韓国政府の傘下にある財団「日帝強制動員被害者支援財団」が肩代わりして、賠償金相当額を支払うというものでした。
 

これを受けて日本政府・企業は「お金を出さなくても韓国がお金を出してくれる、これは良い」ということで、「日韓関係を修復しましょう、環境を変えて行きましょう」ということで昨年の春以降、日韓関係の改善プロセスが進みました。改善は良いことです。しかし肝心の強制動員の問題は全然解決していません。
昨年の12月から今年の1月にかけて、大法院(最高裁)で強制動員された被害者の人たち、元勤労挺身隊の人たちが起こした9件の訴訟で、連続して判決がでました。その判決はいずれも被害者の請求を認めて「被告企業は被害者に賠償しなさい」という判決でした(9件の訴訟では被告企業は4社、日本製鉄、三菱重工・不二越・日立造船)。

 

昨年3月の「解決策」で元徴用工問題は終わったと多くの方は思っているかもしれませんが、そうではありません。韓国では裁判が続いていて、今、言いましたように9件の訴訟で判決が出ました。原告は全部で56人。実はこの判決が出た9件の訴訟の他に、韓国ではまだ51件の訴訟が続いています。その内の1件は原告勝訴で、すでに大法院に上がっています。また8件は、高裁にあがっています。高等裁判所にあがったこの訴訟も、一部で時効により請求が棄却された訴訟もありますが、殆どが被害者の請求が認められています。時効で請求棄却された訴訟も、昨年12月の大法院判決で控訴審では一審判決が覆されるはずです。そして他に42件、裁判所でまだ裁判が続けられています。その原告は200人以上です。ですから強制動員問題は、解決してもいないし、終わってもいません。そういう状況で「じゃあ、どうする?」ということです。韓国政府が賠償すると言って「解決策」を出したのだから、これでいけるのではと思っているかもしれませんが、それはなかなか難しいというのが現状です。
 

何故か。「解決策」というのは被告企業に代わって、韓国政府の傘下にある財団が、被害者に対して賠償金相当額を払うということです。これは法律的な用語でいうと、「第三者弁済」と言います。債権者と債務者とは関係のない第三者が債務者に代わって債権者に対してお金を払いますよ、という仕組みです。しかし第三者弁済が成り立つのには条件があります。それは債権者、債務者とも「第三者弁済でいいよ」と了解、納得していないと第三者弁済というのは成立しません。ところが2018年10、11月に判決を受けた原告のうち、拒否している人がいます。
 

「私が強制動員されたのは三菱重工です」「私が強制労働されたのは日本製鉄の釜石製鉄です」「(第三者弁済と言っても)韓国の財団は何の関係もありません」「財団が私たちに賠償金を支払うのは筋違いでしょう」「私たちが求めているのは、長い長い裁判をずっとやってきたのは何故かというと、自分たちをひどい目にあわせた、強制労働させた日本の企業に一言謝ってもらいたい、償いのためのお金を渡してもらいたい」ということで、裁判をしてきているわけです。
 

ところが「財団が金を払うということでは、私たちは納得できません」「加害者は一体何するんだ。謝罪もしない。お金も出さない。それで解決だ、と言われてもそんなことはあり得ない」と拒否している人がいます。そして拒否している人たちは、日本製鉄、三菱重工の韓国にある財産を差し押さえています。日本製鉄も三菱重工も判決を履行しません。「一億ウォンを払って賠償しなさい」と判決を受けているにも関わらず、その判決を履行しない。そうであれば強制執行するしかなく、それは通常の正常な裁判手続きです。そのために韓国にある三菱重工や日本製鉄の財産を差し押さえて、それをお金に替えて賠償金をもらおうと手続きは進んでいます。そしてその裁判はまだ終わっていないわけです。こういうことでは「解決策」では事は終わらないということが一つ。
 

もう一つ、これはもっと大きいことですが、「解決策」というのは財団が被告企業に代わって賠償金を原告に支払うという方式です。そのためにお金がいります。そのお金をどこから集めてくるか。財団は日本と韓国の企業から寄付してもらい払いますと言っていましたが、集まったお金は全部で41億ウォンしかないのです。日本円だと四千数百万円。それくらいのお金しかないのです。ところがすでに11名の方の賠償金としてすでに支払われたお金は約26億ウォンで、残りは14億ウォンくらいしか残っていない。ところが今回の9件の裁判で勝訴の判決を受けた原告の数は、全員で56人です(注:1名は日立造船訴訟原告で、この原告は日立造船の「供託金」を差押えて、賠償金として受領済)。この人たちは賠償金替わりに財団からお金を下さいと言っています。十数億ウォンしか残っていないのに、原告は55人。利息を入れるとこの額では済まない。一人当たり2億5千万ウォンずつ(延滞利息を含めて)払わなければならない。それ掛ける55人分では130億ウォンくらいお金が必要になります。でもお金は全然ないのです。一体どうするのか。実際、韓国政府も困っています。財団の理事長も頭を抱えていることでしょう。こういう現状ですから、裁判はどんどん原告が勝つ、そして裁判が51件続いています。原告が勝訴する判決はこれからも続きます。尹錫悦大統領も頭を抱えて、困っている。韓国の外務大臣(外交部長官)は、「日本の被告企業(日本製鉄、三菱重工、不二越)も財団にお金を払ってもらいたい、そうしないと上手くいかない」と言っています。尹大統領自身も「日韓友好を日本企業も韓国企業、経済界もみんな望んでいる。そういうのであれば、協力してこの問題を解決していきましょう」と言っています。これに対して、日本企業、日本政府は、相変わらず「韓国政府が何とかするのでは」と言っているだけです。自分のことなのに他人事のように言っているのでは、問題は解決しません。
 

加害者と被害者が裁判で争って、加害者が敗訴しているのですから、判決に従う必要があります。原点に返って加害企業が賠償すること。判決に沿うように被害者に対して賠償し、謝罪する。同じようなことはもうしません、と約束する。そういう取組みをして問題を解決して終わらせることが、いま改めて問われているのではないでしょうか。
 

実は先月2月に、ILO(国際労働機関)の中に、条約勧告適用専門家委員会がありますが、その専門家委員会が強制労働について、日本政府に対して意見を出しています。勧告を出しています。一つは技能実習生問題で、これは現代の奴隷労働だと言って、見直しするべきと指摘しています。国際機関からも、アメリカ政府からも勧告されてきて、これは制度として続けられないということで、日本政府はこの制度を廃止すると決めました。しかしまた今度は、「育成就労制度」と言って技能実習生制度と同じようなことを看板をすげ変えてやろうとしています。こういうことで良いのでしょうか。しっかりとどうするのか報告してくださいとILOは言っています。
 

もう一つは、日本軍「慰安婦」問題と戦時中の強制労働の問題について、「早く何とかしなさい、この問題は本当に深刻なんですよ、人権侵害がひどい」「この問題は1990年代からずっと問題にされているのに、30年以上経っていてもまだ解決していない。その間に被害者が高齢化のためどんどん亡くなっている。このままでは被害者の方々が全部亡くなってしまう。被害者が生きているうちに、被害者が存命のうちに、遅滞なく被害者救済のための適切な処置を講じなさい」という勧告を出しています。ILO29条条約(強制労働に関する条約)は1930年にできています。日本は、条約ができてすぐ1932年に批准しています。日本は口を開けば、「国際法は守るべきだ」と言いますが、自分たちはどうなんですか。人権侵害、被害者の尊厳をずっと傷つけたまま、その回復のために何ら対策を講じていない、そういう状態ではだめですよ、ということをILO国際労働機関は言っています。韓国の被害者だけが言っているのではない、国際機関もそう言っているのですから、日本政府は自分たちの過去の不法行為の責任をとって、被害者に対して償いをする、もう二度としないということを被害者にも、国際社会にも約束することが問われています。


是非、日本が抱えている問題、戦争中に犯した問題、植民地支配下の問題で、いまだに癒されていない被害者がいること。この問題が解決されずに放置されている。そういう中で、日本はまた新しい戦争をしようとしているわけです。それで良いのか、ということを皆さん、一緒に考えていきましょう!