福祉事務所で生活保護のケースワーカーをしていた時に体験した沢山の人々をモチーフに八つの話にまとめた作品。

 日本では働けなくなった時の頼みは生活保護しか無い。しかし政府のお情けには縋りたくないという気持ちが強いことと、自己責任という冷たい合唱が弱者を痛めつける社会にあって、生保は恥ずかしいとされる。

 フランスの社会福祉を読んだ後なので、日本のお粗末な社会保障に背中が寒くなる。憲法で保障されている健康で人間的生活が送れるよう私たちは人ごとだと思わないで声をあげていく必要がある。

 そうは言っても困っている人には待ったが聞かない、何かお役に立てることを小さくても実行することが急務だと思う。