指揮・渡辺一正

ヴァイオリン・周防亮介

管弦楽・日本フィルハーモニー交響楽団


パガニーニ・ヴァイオリン協奏曲第1番二長調op.6

ブルッフ・ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26

シベリウス・ヴァイオリン協奏曲ニ短調op.47


 7歳からヴァイオリンを始め、2016年ヴイエニャフスキ国際コンクール入賞、日本音楽コンクール、オイストラフ国際コンクールなど数々のコンクールで優勝、入賞の実績を持つ若手音楽家。名前は男性だが、容姿は女性。益々美しくなっている。長く伸ばした髪が背中で揺れる。音色は神経質な音にはほど遠く、柔らかく、優しく心の扉を叩く。30分を超える協奏曲を三つも並べて演奏。

熱演の後、サラサーテのツィゴイネルワイゼンをアンコール演奏してくれ、熱狂的な拍手に包まれて演奏会を閉じた。プログラムは曲の解説というより、周防さんの心情が綴られてい、とても興味深く読ませてもらった。

 日フィルは「オーケストラ・コンサート」「エデュケーション・プログラム」「リージョナル・アクティビティ(地域活動)という三つの柱に加え、2011年の東日本大震災以来「被災地に音楽を」届ける活動を継続している心温まるオーケストラだ。50年前のフジテレビ解雇闘争から蘇った世界に類のないオーケストラである。サントリーホールを満杯にできなくてもそれを凌ぐ大きな拍手が周防さんの実力を物語っていたように思う。とても心地よいコンサートだった。