昨日、財布を取り上げた | モトコのブログ

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初出・月刊「福祉のひろば」2009年5月号

「福祉のひろば」のホームページはこちら→http://www.sosyaken.jp/hiroba/

 

ここに出てくる似た者同士の父の友人Iさんのことを

父は今でも時々口にします。

「ずいぶん会っていないなぁ、どうしているのかな?」と。

ずいぶん会っていないのも、どうしているのか分からないのも本当で、

ここ数年、近況が全く分からないままになっています。

それまでの様子から、たぶん父と同じかなと推察しています。

 

さて、タイトルの話です。

昨日、父を訪ねたら広間でカラオケしていました。

365歩のマーチ歌う声に手を打って、一緒に歌っていた。

すぐに私に気付いた職員さんに駆け寄って、

先に一人で父の部屋を片付けてくると話して父を呼ぶのを止めてもらい

一人で父の部屋へ向かいました。

 

テレビ台の上にまたまたメモと一緒に財布がありました。

メモには「千円を10枚入れておいてください。モトコへ

後で返しますので、お願いします」と書かれていました。

それを財布ごと自分のコートのポケットに突っ込みました。

洗濯ものを始末して、カラオケ会場に戻り

職員さんに財布を回収したことを告げました。

「ああ、それが良いと思います」とホッとした顔で言われました。

お金が入っていれば自動販売機通いが治まらないし、

(買えばすぐに飲み食いしてしまい、容器を捨てた時点で

まだ買っていない、買いに行かなくちゃのループになる)

入ってなければお金が無いことが不安になるしで、

職員さんはお金に関する父の対応に手を焼いていたのだと思います。

 

お財布を見ることが引き金になってお金のことを思い出すようなので、

お財布がなければ、無くなっていることに気付かなければそれきり忘れる?

そんな期待をしています。

お財布が無いと騒いだら、

「お金を入れてくると娘さんが持って行った」と言ってもらうことになってます。

 

もう少し生活がコントロールできる程度に記憶がしっかりしていたらと

時々、父が気の毒になります。

コントロールさえできたら、お金も好きなだけ持たせてあげられ、

大きな袋にお菓子だってお酒だって渡してあげられる。

あんなに好きなカレーライスも施設に行ってからは

たまにしか食べることができません。

「朝ごはん、もらっていない!」と訴えたりするから

食べても食べていなくても変わりはないとはいえるのですけど。

 

私の行かなかった日に、弟たちが来たようです。

訪問ノートに記名があり、部屋に孫の手が…。

実は孫の手も持たせていたのを止めたものの一つなんです。

体のあちこちを孫の手で出血するまで掻き続けるからです。

職員さんが薬を塗ってくれたりして、傷がやっと治ったところだった。

可愛そうにとか、良かれと思って渡してくれたのは重々感謝するけど

また同じことを繰り返すことになりそうです(泣)