9月5日(土) | 元木昌彦の「編集者の学校」

元木昌彦の「編集者の学校」

「FRIDAY」「週刊現代」「オーマイニュース」など数々の編集長を歴任
政治家から芸能人まで、その人脈の広さ深さは、元木昌彦ならでは
そんなベテラン編集者の日常を描きながら、次代のメディアのありようを問いただす

 オフィスで大正大学のフリーペーパーの作成。夜、武蔵野館で、シャーリー・マックレーン主演の「ココ・シャネル」を観る。
「1954年、パリ。空白の15年を経て、復帰コレクションを用意したココ・シャネル(シャーリー・マクレーン)のオートクチュール店にはたくさんの評論家や顧客が詰めかけていた。しかし、コレクションは不評に終わり、落胆するココと、ビジネス・パートナーのマルク・ボウシエ(マルコム・マクダウェル)。ココは、孤児からお針子となり、デザイナーとしての地位を築いた日々を回想する——。ファッションへの野心と燃えるような愛を貫き生きた、世界で最も有名なデザイナー、ココ・シャネルの伝説の物語。空白に15年を経たシャネルを大女優、シャーリー・マクレーンが、若き日のシャネルをバーボラ・ボブローヴァが演じる。およそ70着もの衣裳とヴィンテージの宝石、バッグが物語を彩る」(シネマ・カフエ・ネットより)
 映画の出来はそこそこ。だが、観ていて不思議なのが、貧しいお針子だったココが、帽子作りから始め、安い素材で女性らしさを主張できるファッションを作り出していく過程はわかったが、なぜ、エレガントだけれど価格は安いはずだった「シャネル」が、いまのような庶民には手の届かない値段になってしまったのかがわからない。
「シャネラー」という言葉があるように、全身シャネルで着飾らなくてはシャネルを持つ意味がない。シャネルのスーツにエルメスのバックではおかしいのだ。
 その上、雑誌などへの規制もシャネルがいちばん厳しい。ブランドイメージを守ろうとするのはわからないでもないが、あまりにも過剰だと思うことがあった。貧しいココが生み出した「シャネル」は一部の金持ち女性のためのものになってしまっていることを、彼女はどう考えていたのだろうか。
 ココが、映画の中で、こんな意味のことをいっている。「人は成功では強くなれない。失敗が人を強くするのだ」。自民党へ贈りたい言葉だね。
シャネルにはこんな名言があるとネットにでていた。
 20歳の顔は、自然の贈り物。50歳の顔は、あなたの功績。
 美しさは女性の「武器」であり、装いは「知恵」であり、謙虚さは「エレガント」である。