8月31日(日) | 元木昌彦の「編集者の学校」

元木昌彦の「編集者の学校」

「FRIDAY」「週刊現代」「オーマイニュース」など数々の編集長を歴任
政治家から芸能人まで、その人脈の広さ深さは、元木昌彦ならでは
そんなベテラン編集者の日常を描きながら、次代のメディアのありようを問いただす

 12時半に羽田インターナショナルターミナルに集合。「愛華訪中団」の一員として上海へ。団長は東京電力顧問の荒木浩さん。鼓紀男東京電力副社長。笹森清前連合会長。「Will」編集長花田紀凱さんなど総勢10数人。この不思議な団体は、月刊雑誌「自由」をやっている石原萌記さんという、私の大好きな人がまとめている会で、もう8回目になる。

 思想信条を超えて、日中友好を、甘い言葉ではなく、お互い、いいたいことをいいあって、その上で、よりよい日中関係を築くべきだという、石原さんの考えに共鳴した人たちが集ったものだ。

 インターナショナルターミナルは立ち飲みの喫茶店のようなものしかなく、いつもなら、団結式をやるのだが、今回は、着いてからやろうと、機上の人になる。

 機内で、帰ってからインタビューする真山仁さんの「ベイジン」を読む。おもしろい。中国の原発開発と北京オリンピックを絡めたサスペンスだが、今回の訪中団も、東電をはじめとして電力会社の人たちが多いために、中国の原発開発の話は自然に出てくる。

 今は全体の電力の2%程度が原発だが、数年後には4,5%にはしたいという中国側の思惑は、達成可能なのか。そのとき、日本の電力会社はどの程度の役割を果たすのか。

 原発に対する考え方の違いはあるにしても、ジャーナリストとして関心のあるテーマである。中国最大の問題である電力事情はどうなっているのか。北京オリンピックは乗り切ったが、2年後の上海万博ではどうなるのか。

 6時過ぎに、上海のリバーサイドの幻想的な高層ビル群を眺め、10年ものの紹興酒に陶然としながら、うつらうつら考えるのだった。

 オープンしたばかりの世界一高いという森ビルは491メートルだそうだ。なぜこんなに高いビルを建てたがるのか。中国の為政者たちは、地上ではなく、空高く、万里の長城を築こうとしているのか。その理由は何なのか。酔いが高じてこれ以上考えられない。お休みなさい。