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ビル省エネ手帳 2011/著者不明

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ビルにおけるエネルギー管理
ビルのエネルギー消費は以下のような内訳になる.
熱源:31%
熱搬送:11%
給湯:1%
照明・コンセント:43%(照明:22%,コンセント:21%)
 動力:8%
その他:5%

空調設備

負荷低減策
・取り入れ外気量の適正化
 建築基準法では一人あたり最低20m3/hの外気取り入れが義務付けられており,室内CO2の濃度を1000ppm以下に保たなければならない.室内CO2濃度を検知して濃度が1000ppmに近い所で制御することにより省エネを図れる.自動制御の場合,冷房時は外気負荷の約50%を低減でき,暖房時は70%低減できる.

・空調運転開始時の外気導入カット
 一時間程度遅延が可能となる.

・窓ガラスからの侵入熱量の低減
日射による外壁の熱負荷は,夏の冷房負荷全体の約1/4であり,この中で窓ガラス負荷は約75%も占める.多層ガラスやブラインド,カーテン,遮蔽フィルム貼付けなどにより冷房が少なくて済む.

・屋根散水
 15時の外表面温度を比較すると18℃近くの温度低下が見られる.

照明など空調冷房負荷
照明器具で消費される電力は最終的には全て熱に変わるので,冷房負荷を上げる.LEDやHf管などの導入により冷房負荷を下げることが出来る.

過大設備の効率的運転
 設備の年間稼働時間の80%は負荷率が35%以下で運転されており,エネルギーロスに繋がる.

風量制御における回転速度制御
ダンパ制御などよりも速度制御(インバータ制御)を土に有するのが望ましい.

冷凍機の冷水出口温度
 例えば冷水出口温度を7℃から9~10℃に調整すると7%程度の省エネになる.

冷温水ポンプを能力の最大限まで活用して,台数制御時の二代目などのポンプ運転を抑制する.

フリークーリング
冷水を作る代わりに冷却塔からの冷却水を直接空調機に供給して冷凍機の動力をセーブする方式.湿球温度が7℃以下の場合フリークーリングが可能となる.

全熱交換器
室内からの余剰排気の熱量を回収利用するもの.

ビルマルチ空調システム
以下のような機能を持っている.
ピーク電力低減制御:ピーク電力が下がるよう室外機の運転の制御を行う.
 能力セーブ制御:気象予データから適切な設定温度を判定し,能力セーブレベルを決定する.

蓄熱式空調システム
蓄熱調整契約により安価な夜間電力料金が利用できる.

デシカント空調システム
吸湿剤を利用したデシカント方式は直接空気中の水分を吸着するため,除湿のためのエネルギーが不要である.


熱源設備
空気比の調整
 空気比が高く設定されている場合が多い.例えば空気比を1.6から目標空気比の1.2に調整する.

排ガス温度の調整
ボイラ水の水質管理の適正化

給排水設備
高効率給湯器
・CO2冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)
・潜熱回収型給湯器(エコジョーズ)
・2010年度までにCO2冷媒ヒートポンプ給湯機と潜熱回収型給湯器を計800万台普及させる計画.

オフィスビルの水管理
・オフィスビルの水使用量の76.9%はトイレでの水使用が占める.トイレの節水性は大幅に進歩している.
・他にも女子トイレへの擬音装置の設置や節水シャワーヘッドの設置により節水が可能である.また給水方式を水道引込管の押しこみ圧力を活用する直結給水方式を用いることで省エネが可能である.

下水道
ブロワで必要空気を送入しなければならないが,ブロワが過大であることが多い.ブロワの消費電力の削減(約3~5割)が期待できる.

照明設備・コンセント負荷
LED照明
 40000時間と長寿命で,約10年間ランプ交換が不要.メンテナンス費用を大幅に削減できる.エネルギー消費量は白熱系球ランプの1/8,蛍光球の60%程度.

インバータ安定期型蛍光灯(Hf)への変更

照明のメンテナンス
照明器具の掃除をしないと明るさが約15%落ち,寿命時間切れに近いランプでは光束が約30%低下すると言われている.合わせると半分近くも明るさが落ちてしまい事になる.

電力設備
デマンド監視制御によるピーク電力の抑制

力率改善
進相コンデンサにより改善する.

昇降機・業務用機器・駐車場など
エレベータの群管理システム
インバータ制御(省エネと乗り心地の改善)
回生制動による電力回収
エスカレータのエコモード運転:2008年に登場.利用者が少ない時に減速制御を行い13%の省電力化を実現する.
エスカレータの自動運転装置:人感センサで感知して自動的に運転を開始する.

IT機器の消費電力は2006年比で2025年に5.2倍と予測されている.サーバーの負荷率は20%程度しかなく,しかもサーバCPUの利用率がほとんどゼロでも6割程度の電力消費が見られる.

医療機器の大部分は稼働時間が瞬間的なのに電源を入れて置かなければならないので,ほとんどが待機電力である.MRIやCTの消費電力の96%が待機電力として消費されている.

駐車場ではCO濃度を測定し換気量制御を行うことで省エネを実現できる.これはESCO案件としても注目されている.
温室効果ガスの算定と報告―工場又は事務所その他の事業場の排出量について/向井 憲一

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はじめに
 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)とエネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)は相互に関連した法律であり,両法を同時に学習するのが効果的である.温対法は温室効果ガスに関して算定・報告・公表を行う法律であり,省エネ法はエネルギー使用量の報告やエネルギー管理者の設置を義務付け,エネルギー使用の合理化を進める法律である.

温対法について
 温対法では次のようなステップで進める.
  1.ガスの種類の把握 → 2.温室効果ガスの算定と特定排出者の特定
→ 3.GHG排出量の抑制 → 4.報告書の提出

1.ガスの種類の把握
温対法は「算定・報告・公表制度」とも呼ばれ,温対法の対象ガスは京都6ガスであるが,エネルギー起源二酸化炭素の算定・報告に関しては省エネ法の定期報告で代えることが出来る.したがって温対法では京都6ガスからエネルギー起源二酸化炭素を除いた5.5ガスを特に算定・報告する必要が発生すると考えることができる.

2.温室効果ガスの算定と特定排出者の特定
2-1.特定排出者
(1)エネルギー起源二酸化炭素排出量を報告する特定排出者:原油換算1500kL
(2)エネルギー起源以外の温室効果ガスの排出量を報告する特定排出者:温室効果ガスの種類ごとに,すべての事務所の排出量合計がCO2換算で3000トン以上となる事業者で,かつ事業者全体で常時使用する従業員の数が21人以上の事業者.
*温対法の改正により事業所単位から事業者単位へと対象が広がった.
*改正前後で全排出量におけるカバー率が業務部門で大きく変わった.
改正前 改正後
産業部門約9割強,業務部門1割強 産業部門約9割強,業務部門約5割(推計)


2-2.少量排出源にかかる算定方法の特例
総排出量の1%未満の範囲の工場等については,前年度と同じ値をその年度の温室効果ガスの排出量として使用できる.

2-3.配慮条項
「京都メカニズムクレジット」「国内認証排出削減量」(国内クレジット制度,オフセット・クレジット制度)を用いて排出量を調整することが出来る.

2-4.排出係数
改正により,国が公表する電気事業者ごとの排出係数を使用することとなった.

3.排出抑制等のための指針
「温室効果ガス排出抑制等指針」が公表されている.

4.報告書の提出
エネルギー起源二酸化炭素排出量の報告は省エネ法の定期報告書での報告を可能にしている.


省エネ法について
省エネ法は次のようなステップで進める.
1.エネルギー使用量の把握 → 2.特定事業者又は特定連鎖化事業者の指定
→ 3.エネルギー管理統括者等の選任 → 4.エネルギー管理の実施
→ 5.中期計画書・定期報告書の提出

1.エネルギー使用量の把握
1-1.エネルギー及び燃料の定義のポイント
・「燃料」とは化石燃料のことである.
・「エネルギー」とは「燃料」により発生した電気・熱のことである.
・「電気」とは化石燃料起源の電気であり,化石燃料の燃焼→熱→動力→電気エネルギーという家庭により得られる電気のことである.
したがって,非化石燃料起源であると特定できる熱・電気は「エネルギー」とはならない.また燃料電池からの電気と特定できる場合は省エネ法の「電気」とはならない.

1-2.総エネルギー使用量の1%未満の範囲の工場等の報告は,初年度の値を使用できる.

1-3.テナントについて
「ビルのオーナー」はビル全体のエネルギー使用量から「テナント」にエネルギー管理権原がある設備のエネルギー使用量を除いた量について報告が求められている.テナントはテナント専用部のすべてのエネルギー使用量を報告する必要がある.

2.特定事業者又は特定連鎖化事業者の指定
2-1.特定事業者又は特定連鎖化事業者の指定
エネルギー使用量の合計が原油換算で1500kL/年以上の事業者は特定事業者となる.
*連鎖化事業者は特定連鎖化事業者となる.

2-2.特定事業者(又は特定連鎖化事業者)が設置する「工場等ごと」の指定区分
年間エネルギー使用量
(原油換算kL) 3000kL/年以上 1500~3000kL/年未満
指定区分 第一種エネルギー管理指定工場等 第二種エネルギー管理指定工場等
事業者の区分 第一種特定事業者 第二種特定事業者

3.エネルギー管理統括者等の選任
特定事業者はエネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者を選任しなければならない.また,第一種特定事業者はのうち製造等5業種はエネルギー管理者を,それ以外の第一種特定事業者および第二種特定事業者はエネルギー管理員を選任しなければならない.

4.エネルギー管理の実施(エネルギー管理統括者等の役割)
省エネ法はエネルギー消費減単位を中長期的に見て年平均1%以上低減させることを目標としている.
エネルギー管理統括者:経営的視点を踏まえ,中長期計画等を取りまとめる.
エネルギー管理企画推進者:エネルギー管理統括者の職務を実務面から支えること
エネルギー管理者及びエネルギー管理員:省エネルギー対策等の取組を実施する.

5.中期計画書・定期報告書の提出
5-1.配慮条項
省エネ法・定期報告書で報告できる事業を「共同省エネルギー事業」という.
共同省エネルギー量 = (ベースライン)-(プロジェクト)
 自己申告は認められず第三者による認証が義務付けられている.ただし国内クレジット制度出認証を受けた事業であれば,改めて第三者認証は不要である(ただし再生可能エネルギーの導入に関する国内クレジット事業は報告できない).

改正省エネルギー法とその対応策―グリーン企業・グリーン市民になるための基礎知識 (B&Tブックス)/福田 遵

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●電気の特徴
・電圧維持の重要性:もしも発電量が需要量を下回るような事態が発生すると電力系統における電圧が下がる.最終的には大停電にまで進んでしまうという例が日本でも過去に発生した.
・オームの法則の呪縛:送電・変電の際に電力損失が発生してしまう.
・周波数維持の重要性:周波数または位相がずれた地点で電圧差が発生して,電力自己が発生してしまう.周波数だけでなく位相も常に同じにしなければならない.


●省エネルギー関連法
以下のような関連法がある.
・エネルギー政策基本法,
・省エネルギー法(エネルギー使用の合理化に関する法律)
・新エネルギー法(新エネルギー利用などの促進に関する特別措置法)
・RPS法(電気事業者による新エネルギーなどの利用に関する特別措置法)

省エネルギー法(エネルギー使用の合理化に関する法律)について特に記述すると,
2010年4月から届出,定期報告する必要がある.
 特定事業者とはエネルギー使用量が1500キロリットル以上の事業者.
 特定連鎖化事業者も対象となる.
 今回の改正でテナントでも全国の事業場全体のエネルギー使用量が1500キロリットル以上になるような事業者には,報告義務が生じるようになる.このためビルオーナーはテナントと協力して省エネルギー化を進めていくことが出来る.



●発電側における省エネルギー技術
・電力平準化対策:揚水発電,フライホイール電力貯蔵,超電導コイル電力貯蔵,圧縮空
気貯蔵などがある.

・風力発電:大型風車への落雷事故は,2004~2006年の3年間で139件も発生した.日本では,風車の故障の原因の一位が落雷によるもの.落雷による被害復旧に日は100日近くかかる場合もある.

・蓄電技術:ニッケル水素電池,リチウムイオン電池,電気二重層キャパシタ,NaS電池,レドックスフロー電池などがある.

・電力系統(マイクログリッド,スマートグリッド)
小規模な配電網内で需給バランスを考えるのがマイクログリッドシステム.通常の電力送電系統をバックアップ電源と捉えてIT技術を用いた制御システムを使って全体の需給を調整する.日本ではマイクログリッドがより広いエリアに拡大されていくとスマートグリッドになっていくと思われる.

●負荷側の省エネルギー技術
・照明制御技術
人感センサによる省エネルギー:60%もの電気量を削減できる.
 初期照度補正:使用開始から数千時間は設計照度より明るく,調光することにより全体
の平均消費電力で比較して約15%削減できる.

・IT設備
故障のリスクを避けるためシステムを多重化し,信頼性を向上させる.このように情報システムの信頼性を上げていくと,それにともなって電力消費量は増加する.経産省によると2006年比で2025年には5.18倍の電力をIT機器で利用すると予想されている.
UPS:無停電電源装置瞬時の電圧低下や瞬時の停電が発生した際にシステムがダウンし
ないために用いる.UPSも信頼性向上のため多重化を行う.

・待機電力:事務所の電力の10~15%程度が待機電力と言われている.ネットワークに接続されているパソコンに強制的に省電力モードを適用するソフトウェアがあり,このソフトだけでパソコンの電力消費が半分になるといわれている.

・監視制御技術
BEMSは多くの設備で消費されるエネルギーをオンラインで計測して収集すると同時に,それを視覚的に見やすい形で表示できるシステム.リアルタイムに情報を収集し,無駄な電力使用がなされていないか,または契約容量をオーバーしそうな場合は,優先度の低い負荷から停止して最大電力量を押さえるなどの方策が的確に行えるようになる.