北大西洋に生息する体長5~6メートルもある鮫イルカ「ニシオンデンザメ」の年齢が400年くらいという研究調査がありました。 

この調査の方法ですがサメは軟骨魚、つまり軟骨しかなく硬い骨がないため従来の方法では年齢が分析できません。 

このため眼の水晶体を使って放射性炭素の年代を測定して判明したそうです。 

魚類は「軟骨魚」から「硬骨魚」に進化しさらに脊椎動物へ進化したという説があります。 

ところが最近の学説ではサメは硬骨魚からまた軟骨魚に再進化?退化?し高い運動能力を獲得したといわれています。 

人類の祖先についてもサル以前は「魚」説があります。 

妊娠中の10カ月間に胎児は魚類(えらができる)→は虫類(しっぽができる)→哺乳類(指ができる)へと動物の進化の歴史をたどり生まれてくると言います。 

そして胎児は、産道を通りやすいようほとんどの骨が軟骨でできていて成長するにつれてだんだん硬い骨になっていきます。 

頭のてっぺんの骨も赤ちゃんよだれの頃は4つにわかれていて二歳くらいまでにふさがっていきます。 

 

膝の関節はかなり大きな関節で、その軟骨は柔らかいまま一生変わらず働いてくれます。 

軟骨には種類があり、軟骨の中で最も多い「硝子軟骨」、引っ張りに強い「繊維軟骨」、弾力性に富む「弾性軟骨」の三種類があります。 

「膝の軟骨」は硝子軟骨、「半月板」は繊維軟骨、「耳」は弾性軟骨です。(靭帯はコラーゲン繊維) 

この膝軟骨は主成分がコンドロイチン硫酸などの「プロテオグリカン」という糖たんぱくであり、水分を豊富に含んでいて厚みは数mm程度で白く滑らかで曲げや圧力にも耐え弾力がある骨です。 

膝の摩擦をなくして関節のスムーズな動きを担い、地面からの衝撃も吸収する、車でいえばサスペンションとかスプリングのようなものです。 

膝の炎症はこの軟骨の損傷がきっかけになります。 

加齢・肥満・膝に負担のかかるスポーツなどで膝の中の「靭帯」や「半月板」が損傷すると軟骨はすり減りへったり割れたりします。 

このとき軟骨のかけらが、膝を包んでいる「滑膜」を刺激することで炎症が起きます。 

さらに膝に水が溜まることがありますが、これは「滑膜」の炎症で「炎症性サイトカイン」が増加し毛細血管の透過性が亢進して関節液が増えたからです。 

水がたまると痛くて動かしにくくなりますし、何度も繰り返すと炎症が治まっても骨糜爛、滑膜の肥厚などで動かしにくい・曲げにくいといった状態になります。 

膝がこぶのように固まり、足の筋肉が落ちて鶴のような膝になることもあります。 

 

膝に水がたまった方から「抜くとクセになりますか」と聞かれることが結構あります。 

この件について整形外科はこう説明します。 

膝の水を抜くと今までの痛みが嘘のように無くなるので反動でつい歩き回ってしまい治りきっていない炎症が再度悪化する。 

するとまた膝に水がたまり水を抜いてもらうことになる。 

つまりこれは「クセになる」のではなく炎症がなくなっていないからであると。 

炎症をいかに抑えるかが腕の見せ所というわけです。 

この点については西洋医学の治療はヒアルロン酸注射、ステロイド注射、鎮痛消炎剤の飲み薬、貼り薬がよく処方されます。 

進行して初期から中期の治療段階になりますと関節鏡視下手術、さらに深刻になれば骨切り手術、さらに末期になれば人工膝関節となります。 

最近では再生医療として血液中の血小板が放出する成長因子(多血小板血漿療法)や、皮下脂肪に含まれる「幹細胞」を利用して軟骨の自己修復を促す治療も広がってきました。 

全勝優勝を花道に昨年引退した白鵬関も再生医療をされたようです。 

 

東洋医学では漢方薬や針灸があります。 

人工関節や高額な再生医療しか選択肢がなくなってしまう前にこうしたものを上手に利用されることです。
下記のような症状の段階で早めに対策をしておくことが大切です。
・正座ができない・曲げ伸ばしができない・一歩目がつらい・歩いていると急にガクンとする・ゴキゴキという音がする
・階段を降りるとき痛い・膝に水がたまる・朝すぐに起きれない・夜ベッドで横になると痛む・顔が洗えない
・靴下が履きづらい・つまづきやすい・歩いていると足がしびれたり、だんだん痛くなる・痛みが走る・太ももの後ろやふくらはぎまで痛い・脊椎館狭窄症、ヘルニア、腰椎スベリ症

これらは足腰のトラブルのあるペットにも有効です。

漢方薬では邪気が侵入して通じなくなった箇所が痛む(痺症)という考え方が基本です。 

 

変形性膝関節症では、加齢などで起きる一次性と、半月板や靭帯の損傷で起きる二次性があります。 

軟骨に損傷が起きますと、軟骨には血管、神経、リンパ管が通っておらず栄養が届かないため自然に元に戻ることは難しいです。 

この場合は「瘀血」に対応する処方を併用されると症状が和らぎます。 

程度によっては手術も視野に入りますが、その場合でも瘀血を改善しておくことで術後の回復を早めます。 

ちなみに軟骨でない硬い骨「硬骨」つまり一般的な骨ですが、こちらの骨は折れても再生します。 

骨の中には血管が通っていて骨折すると出血が起こりますが、その血が固まると骨折部位を接着しさらにそこに新しく毛細血管(新生血管)が入っていき骨が再形成されます。 

こうした骨折でも瘀血・止血に対応する生薬を併用すると早く回復します。 

新しい組織を作るための新生血管はいいことばかりでもなく、慢性化した膝で長引く痛みがある場所には異常な新生血管が存在していることもあります。 

新生血管は1.炎症物質の放出 2.痛みを感じる神経を増やす 3.正常な血管への血流を阻害するという三つの作用で痛みを悪化していきます。 

これも東洋医学では「お血」と考えて対応する生薬をお勧めしています。 

逆にこうした状態のときに漫然と鎮痛消炎剤を使用すると血流はますます悪化し慢性化します。

 

下記それぞれ対応する処方があります。
・水が溜まって痛いという急性期に痛みや炎症を抑えて水も自然に抜けていくという処方
 整形外科で抜く前にご相談の上一度試してみられるとよいでしょう。
・打撲、スポーツでの障害時に瘀血をとる処方
・冷えると出る痛み・しびれをとる処方
・膝の裏がつっぱるときの処方
・曲がりにくい・動かしにくいという慢性化状態が普通に動いたり曲げたりできるようになる処方
・慢性化して関節は浮腫・腫れがあるのにその上下の筋肉が痩せてくるときの処方
 

 

 (参照:膝痛サプリは効く?) (*参照:ゴースト血管) (*参照:痛みと心) (*参照:血管の異変

続きは2月のメルマガにて

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・天然の消炎鎮痛剤