カウンター

セツナエース「ブスが」

 

一気に痺れるホスト達。

 

僕(またこの女は‥)

 

マイ「‥?」

立ち止まるマイちゃん。

 

セツナエース「あ、違いますよ〜!独り言なんで気にしないでくださ」

 

マイ「私はブスじゃないからwwww」

音速で被せるマイちゃん。

 

セツナエース「はぁ?意味わかんないんだけど、、ねぇ?」

 

食い気味のカウンターは予想してなかった様子で、着いてるヘルプに助けを求めるように少しオロオロし出すセツナエース。仕掛けておいて情けない姿です。

 

もちろん周りのホスト達は一言も喋りません。

下を向き気まずそうにしています。


 

マイ「ブスじゃないでしょ?ww」


 

なーに言ってんだこいつ、と言わんばかりにケタケタ笑いながら、煽るマイちゃん。

 

No. 1のエースという立場だから、罵ったら怯むと思ってた相手に、まさかのど正面から反撃を喰らってしまいセツナエースも黙り込みます。

 

何度だって言いますが、基本的にお客さん同士の煽り合いというのは、同じ担当同士の場合です。

他のホスト指名のお客さんには煽りなどは起こりにくいのです(本当に稀にあるが)

 

マイ「あ、ケイトごめん独り言!帰ろう!」

 

マイちゃんが僕の手を引っ張ります。

 

(実はこの件については、僕と先輩Aで一悶着ありましたがそれはまた別の機会で)

 

エレベーター待ちも、上からは他店のホストと客人で定員オーバー。

歌舞伎町、0時過ぎあるあるですね。

 

面倒臭いので非常階段で降りる事に。

非常階段というのは、先程までの騒がしい店内から一転、ビルによってはシーンと静まり返っています。

途中ドアの開け閉めでどこかの店のBGMがコマ切れで聞こえてくる程度。

 

何となく落ち着く空間?なので、マイちゃんを止めて少しだけ話す事に。

 

僕「俺もう、マイちゃんに来てもらう度にこんな嫌な思いさせて、ゴメンしか出てこないよ」

 

マイ「さすがにしつこい!あの子w」

 

僕「もっと言ってやってもよかったのに!なんだよあの女!」

 

マイ「あのくらいで黙っちゃって、本当は小心者なんだよ。多分、担当がアレだから気が大きくなったんじゃない?」

 

僕「ヤバイ奴らだよな」

 

マイ「本当」

 

外人がよくやる、"やれやれだぜ"といったジェスチャーを交えて少し戯けるマイちゃん。

僕の勝手な想像ですが、今日も本当は向こうに絡まれる事を期待してたんじゃないかなと思います。

 

マイちゃんは続けます。

 

マイ「必要以上に他人にどうこうする人って、その分弱いと思うから。多分セツナ君も弱い人だと思うよ。だから、相手にしないし、相手じゃないの。今回は特別サービスで相手にしてあげたけど」

 

僕「そっか。俺はまだまだ子供だな」

 

マイ「そうそう。だから、これからも相手にしない事。その辺、陽介さんがよく分かってるんじゃない?大人だよね陽介さん、カッコイイ」

 

僕「んーまぁな」

 

若干の嫉妬。

陽介さんが褒められるとちょっと嫉妬する。

 

マイ「今日も色々やられてたね、ケイトもw」

 

僕「うん、マジでウザイ。あいつら2人ともキモい」

 

マイ「キモいのは本当同感」

 

僕・マイ「ねーー♡」と、おでことおでこを合わせてイチャイチャしてしまいました。

 

怒りがすーーっと引いていきます。

 

  意思統一

マイ「ケイトは締日の準備できてる?」

 

この女の子は、ふいに突然、一気に状況を一変させるような事を言ってきます。

ピリッとした空気に。

 

僕「正直言うと、全然準備出来てなくて」

 

マイ「それじゃあダメじゃん」

 

僕「いや言いたい事はわかってる。けど最後まで聞いて」

 

マイ「‥」

 

僕「全然No. 1になれるような計算はできないけど、とにかく俺が出来る事をやりきろうと思う」

 

マイ「‥」

 

僕「まだ時間はある。俺を信じてくれないか?」

 

マイ「わかった」

 

短い返答でしたが、マイちゃんはどこか嬉しそうな表情でした。

 

マイ「セツナ君のエースは毎月あのくらい使ってるの?」

 

僕「うん?うん、まぁアベレージはあのくらい」

 

マイ「て、事は今月も結構いい感じに使ってるのね」

 

僕「多分だけど、3/4くらいまできてるハズ」

 

マイ「それもっとちゃんと調べといて。他のヘルプとかに聞けばわかるでしょ」

 

僕「わかった」

 

マイ「あたしも色々と頑張らないといけない」

 

僕「ありがとう。そういえばさ、あんまり聞かない方がいいと思ってたんだけど、マイちゃんって何の仕事してるの?」

 

マイ「普通の仕事だよ。それよりさ」

 

グイッと話を変えられます。

 

マイ「もし、ケイトがNo. 1になったらご褒美欲しい」

 

僕「えっと、、なんですかね??」

 

マイ「あたしとこんなに喋ってるのに、わからないのー!!もう嫌ぁ〜。ていうか、そういうのは男の方から提案するべきでしょ〜!」

 

僕「・・・」

 

マイちゃんが好きなものってなんだ?

なんだ?なんだ?なんだ?

 

あっ

 

マイちゃんは旅行マニアで、国内・海外問わず、ヨーロッパくらい1人で行ってしまうくらいの旅好きな事を思い出しました。

 

僕「わかった!旅行に行こう!」

 

マイ「本当?!嬉しいー!!!!!!!」

 

今日イチの笑顔になるマイちゃん。

なんかこっちも嬉しくなる。

 

僕「とにかく、俺頑張るから!何回言うんだよって感じだよね」

 

マイ「あいよー!じゃあ明日は朝早いから今日は帰るね。候補地考えといて!」

 

僕「わかった!品川は避けるねw」

 

マイ「当たり前でしょwどんだけ行くねんw」

 

僕達は、手を繋いでタクシーを拾いにビル下に行きます。

 

僕「じゃあ今日も本当にありがとう!また連絡するね!」

 

マイ「ふぅ〜!ホッッスト〜〜!!」

 

僕「ウザイウザイ」

 

マイ「チューは?」

僕「あいあい」

 

照れながらキスをして、タクシーに乗せました。

そして、車が見えなくなるまで手を振り続けました。


「やるぞ!!!」

静かに奮い立つ僕。


歌舞伎町の風景から "一握り"へ。

どんな手を使ってでも、のしあがってやる。


カッコイイとかスマートとかはいらない。


この街で変えてやろうぜ、俺の人生。

歌舞伎町の夜に、ど素人がNo. 1を誓ったのでした


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