望月「おっ‥お前はっ!!」

陽平「あん?誰だお前?」

望月「わっ‥‥忘れたとは言わせないぞ!!」

陽平「お前本当に誰だ?」


望月(こいつは記憶力が0なのか‥もしくは人を階段から突き落とすくらい、こいつにとっては普通なのか‥)


陽平「えっ、えの、江野さんの時はよくもやってくれたなぁ!!!(震える声)」


望月「‥エノ?あーお前あいつのストーカー キモオタ サイコ ドリア風ミラノ パンチェッタじゃねぇか。何してんだここでキメェな。てか髪型どした?チェコ辺りの画家みてぇになってんぞ」


陽平(流れるようなDis‥サイコはお前だしドリア風ミラノは逆なんよ。それだとミラノがドリア風になるんよ。はっ!!違う違う!!)


望月「お前何しにここに来たんだよ!ウチの店に入るのかよ!ふざけんな!!」


陽平「っっうっっせぇえええええ!!!(ガッシャーン)俺だっていきなりシンさんに呼ばれてこんな事になってムカついてんだよ!!!!大体テメェはいつもストーカーのように俺の近くに来やがる!!!今日は盗み聞きかこのクソど変態野郎!!!ドタマかち割って歌舞伎町のマンホールぶち込んで漂流教室させてやろうかオォーン?」


望月(こわいよぉぉぉぉおおおおあ)


望月「やれるもんなら‥やってみろよ!!僕は怖くないぞ!!シ、シンヤさんも黙っちゃいないからな!!」


陽平「んだと?じゃあちょっと待ってろ。スイカ割りにはバットが必要だな。バッセンまで面貸せよ。大谷翔平ばりのアッパースイングでライトスタンドに叩き込んでやるからよ。これが本当の"サヨナラホームラン"ってやつよ」


望月「おまっ えっ ちょっ」


シンヤ「漂流教室がどうしたって?」


2人 (ビクッ)


シンヤ「最近のホストクラブにはバックヤードでも監視カメラついてんだわ。窃盗多いから。で、アッパースイングって話だけど何をどうアッパーしてスイングする気なんだ陽平」


陽平「チッ。別にただのおふざけっすよ。こんな団子虫にかまってらんねーすからね」


シンヤ「本入決まって1分以内に揉め事起こす奴は初めて見たぞ。恐らく歌舞伎町最速記録だな。おめでとう」


陽平「こりゃどーも」


シンヤ「何が原因か知らないが、お前ら明日から同僚だぞ?ちゃんと上手くやれよ?」


望月「嫌です!こいつとだけは働きたくないです!」


陽平「俺もこんなウィーン少年合唱団みたいな見てくれのホストとは仕事できねーすね」


シンヤ「なるほど。つまりお前ら俺の言う事が聞けないって事ね?別にそれならそれで構わないが、こっちもそれなりの見込みとか期待かけて採用してんだわ。この意味わかるよな?」


望月・陽平「‥‥」


シンヤ「何この沈黙。あっやれるって事?了解了解!安心したよあっはっはっ!」


今回は目も顔も笑っていない。


シンヤ「まぁお前ら無理に仲良くしろとは言わない。お前らの中で何があったかなんて追求はしないし深掘りもしない。俺は関係ないからな。ただここは歌舞伎町だ。男なら売上でタイマン張ってみせろよ」


望月・陽平「‥‥」


シンヤ「3ヶ月だ。明日から3ヶ月後の締日にトータルの売上でどっちが勝つか勝負してみろ。指名本数は関係ない、売上のみだ。やり方は全部任せる」


陽平「っっプッ‥わーーはっはっはっはっ!!こいつとかよ!!余裕じゃねえか!!負ける要素が1ミリもねーわ!!」


シンヤ「余裕そうだな」


陽平「何なら明日で勝負決まりますわ。俺を舐めないでください」


シンヤ「ほう。あっ言い忘れてた。お前同棲してる女の子いるって言ってなかったか?」


陽平「あぁ?どの女だ?明日花って女は飼ってますけど?」


望月(ぎりっ‥飼ってるだとこの野郎)


シンヤ「あーそうそう明日花ちゃん。お前、明日花ちゃん禁止な。ウチに来てくれた事は勿論ないけど、速攻で出禁にしとくから」


陽平「はっ?なんでですか?意味わかんねー。別に誰呼ぼうが関係ないっしょ」


シンヤ「明日花ちゃんとの出会いは不明だが、どうせお前の事だ。ロクでもない出会い方をしたんだろう。規制で厳しいって言ったよな?万が一を備えて店を守るのはトップとして当然の責任だ。あと今周りにいる女の子達も全員禁止。以下同文」


陽平「不公平じゃないすか?」


シンヤ「不公平じゃない。もっちーだって客0人からスタートだ。それとも何か、その子達いないと勝てないって事か?砂浦君の名が泣けるねぇ(笑)」


陽平「チッ‥!別にこんな奴相手なら余裕っすわ。いいすよ。新規で客つくりゃいいんでしょ?」


シンヤ「お、条件飲んだか。じゃあホスト規制にはくれぐれも気をつけろよ。暴力、色恋、売掛全部ダメだから」


陽平「規制規制うっせーな。そもそもそんな規制されて誰が楽しいんだよ。どうせみんな裏でもやってんだろ?」


シンヤ「駄目なモノは駄目だ。今はホストのイメージが悪くなりすぎてる。一昔前のやり方は警察が許さない。正攻法のやり方でどうやって売れるか考えるんだ。わかったな」


陽平「説教あざした。俺帰りますわ。明日18時って言いましたよね?どうせ同伴してくるんで、21時くらいにプラっと来ますわ。あと先輩達に言っといてください。俺にちゃんと挨拶しに来いよって。そんじゃ」


シンヤ「全く、ビッグマウスな奴だ。もっちーどうだ?やる気出たか?」


望月「はい‥正直、奴を目の前にするとビビっちゃうんですが‥人生で初めて負けたくないと思えました。頑張ります」


シンヤ「そうかそうか。もっちーにとっても良い経験になるぞ。いいか、いつか売れたらいいなじゃ売れないんだ。今日売れるんだ。今日という日を勝たないと明日は来ない。だから今日お前に出来る事はなんだ?」


望月「初回です。ヘルプでも全力でいきます」


シンヤ「そうだ。全ての初回卓は試合と思え。残念ながら今は勝てないとはそれでも挑み続けろ。全ての売れっ子は挑み続けて、やり続けて今がある。彼等とお前の10万円は重みが違う。頑張れよ」


望月「わかりました」


そして望月vs陽平の売上バトルは幕を開ける。


続く