ふだん
小説を読まない自分が
30年前に出版された文庫を
読み返している。
先日他界された
伊集院静さんの短編集だ。
なお
この文庫が発売された前年
別の作品で直木賞を受賞。
まさに
飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
この文庫に収録された
『乳房』が好きだった。
いま読み返してもいい。
ちょっと重いテーマなのに
浮遊感が支配する。
始まりと終わりのない
旅の途中って感じ。
物語の匂いがいいんだよね。
この文庫が発売されたとき
私は某ファッション業界誌の
編集部に異動して
まだ二年目だったんだけど
そこで知り合った
ファッション界の大御所の実弟が
伊集院さんだと知り
たまに伊集院さんの小説を
手に取るようになった。
買ってはいなかったけど（笑
そこから何度も引っ越して
そのたびに
所蔵する本を大量に処分したけど
この文庫は
ずっとついてきた。
たぶんだけど
この先も処分しない感じがする。
なぜかと問われると
はっきりと言えないけれど
なんとなくずっと
手元に置いておきたい。
「麻雀ばっかり打って。
好きなように生きてるからねえ」
伊集院さんのお姉さんである
大御所の言葉を
いまも覚えている。
伊集院さん。
好きなように生きましたか？