「契約」と「友愛」の象徴であるゾロアスター教の太陽神ミトラの本性が顕現したのが「近代フリーメイソン」の「友愛精神」である。

 

 

「フリーメイソン」というと巷間 “ユダヤ陰謀論 ”とダブって「悪魔崇拝の秘密結社」のようにいわれてきて、何あろう私自身もそう認識している時期があったので強弁はできないが、その本当の成り立ちは、イランに発祥し乍ら後発のイスラム教に置き換わられ消滅したとされるマニ教が、ユダヤ教、キリスト教、仏教などの枠を超える「超宗教」として、親睦団体の形に成り代わったものである。

 

すなわち、ウバイド・ワンワールドの多神教思想から生まれたマニ教が、東に展開して「大乗密教」となり、西に展開してローマ・カトリックを侵食して「プロテスタント」となると同時に、ケルト社会を活性化してクエーカー派を育て、十八世紀以降になると、最先端で開明的な世界規模の思想、親睦団体として、各国王族の間を中心にネットワークを形成していった。

 

一七一七年にワンワールド(世界)國體によって設立された「近代メーソン」の目的は、会員が従来の信仰を保持したまま、その上にマニ教の主神ヴァイシュラヴァーナ(毘沙門天)が象徴する「友愛」を上書きして、「天啓一神教の唯一神を他の神と同格にし、絶対神を相対化すること」である。

 

そして、これにより絶対的一神教のイエズス会による世界侵略から各国國體を守ることがその隠された目的とされたため、組織の内実や会員名、具体的な行動の秘匿性が高く、イエズス会筋(今日の国際金融勢力)から “反カトリックの怪しい陰謀団体 ”との欺瞞に満ちた印象操作をされてきたのである。

 

確かに、フリーメイソン会員の中には一部に”ユダヤ系金融筋”も関わっているが、これはいわゆる”潜入した偽会員”で、本流にはプロテスタント系のクエーカー派や会衆派、オランダ改革派、メソジスト派、ユニテリアン派などがいて、いずれも國體支援勢力に属している。

 

あえていうならば、偽会員からなるグループは「のメイソン」、本流会員からなるグループは「のメイソン」ともいうべき存在で、「裏」をカモフラージュするために「表」の跋扈(ばっこ)を黙認しているとも言ってよい。

 

ちなみに、フリーメイソンとならんで陰謀論にしばしば登場する「イルミナティ」とはこの「のメイソン」のことで別名を「大東社」という。

「大東社」のメンバーには、トップを務めた天皇・堀川辰吉郎をはじめ、山縣有朋(ハプスブルク家のヨハン・オルト説あり)、寺内正毅(元帥陸軍大将・第十八代内閣総理大臣)とその子・寺内寿一(元帥陸軍大将…史上唯一の親子元帥)、荒木貞夫(陸軍大将)、山下奉文(陸軍大将)らがおり、日清・日露両戦役のほか國體黄金の管理、運用など、國體護持活動に携わった。

 

 

ともあれ、ユニテリアン派とは、一五五六年にポーランド・リトアニア共和国で活動を開始した「ポーランド兄弟団」に始まった新教思想の一つで、それまで神の唯一性を強調してきた「三位一体説」を否定し、イエス・キリストの解釈についても「神の子である」とか「普通の人」だとか数派に分かれている。

 

ユニテリアン派と並ぶメイソンの新教思想に「理神論(りしんろん)」がある。

これは神を宇宙の創造者とは認めつつも人格性は否定し、宇宙は自発的に自己発展するとして奇跡、予言の類を否定する実質的な“無神論”だが、欧州社会での抵抗を避けるため「理神論」と称したという。

 

一方、仏教者にもフリーメイソン会員は多く、國體参謀でユニテリアンだった福沢諭吉の仏教保護方針に誘われて慶應義塾に入った、真言宗トップだった土宜法龍(どきほうりゅう)や禅宗の釈宗演(しゃくそうえん)、その弟子の鈴木大拙(すずきだいせつ)などがいる。

 

また、國體銀行横浜正金銀行の設立に尽力し、弟子のフリーメイソン小泉信吉を副頭取にした福沢諭吉は、同じく弟子で同行ロンドン支店長の中井芳楠と生物学者の南方熊楠(みなかたくまぐす)を会わせ、これがきっかけとなってともにメイソンに入会したといわれている。

 

さらに、メイソン白洲次郎の祖父・白洲退蔵も福沢諭吉の腹心で、横浜正金銀行頭取を経て、プロテスタント会衆派、長老派、オランダ改革派などの伝道組織「神戸女学院」の創立に尽力した。

 

そして、一般には小泉信吉の子で慶應義塾塾頭だったメイソン小泉信三が、実家がクリスチャン(イエズス会イグナチオ教会系)の正田美智子(上皇后)の皇室入りを実現したといわれているが、実質的に支援したのは「宮中コスモポリタン」を形成していた白洲次郎といわれている。

 

また、「イエズス会系」といってもこの場合、正田家は敵方に“潜入”していたとのことである。