編集ライター・タカハシの仕事場が表参道だということを知ったので、「んじゃ呑むか、せっかくオシャレさんな街に働いているんだから」
ということで、会社帰りに食べて呑む。
そしたら思いのほか楽しかったので、これからもせっせとオシャレさんな店を探して時折呑もう、ということになり、「青山オシャレな店探検隊」を結成。(隊員2人)
今日は僕が知ってる店(持ち球)を紹介したので僕が隊長。

二軒めの店「Blue Storne」に夜、入ったのは初めてだったけど、カウンターに座ったら、ずらりと酒が並んでるだけでメニューなんてないのね。
で、「本日はどのような感じで」と素敵なバーテンダーが訊いてくるので、「ジントニックを」などと頼みそうになったのをぐっとこらえて考えた。

「どんな感じ」で?
「感じ」? つまりイメージのこと? イメージを伝えてもらいたがっているの? 具体的な名前とかレシピとかではなくて。

よおし。わかりました。
まずね・・・、「ホッとするもの」
そして「柑橘系の癒しを感じられて」、「ポッと心に火が灯るもの」
するとバーテンダーはほほ笑みながら言った。
「かしこまりました・・」

そしたら出てきたんだわ。イメージ通りのカクテルが!
一口目でホッとして、柑橘系の香りで癒されて、赤い液体がほどよい器に盛られて、湯気が立っている。
「うっ、うまい。しかもイメージ通り!」
タカハシも大満足。

これに味をしめて、2杯目も、さらにイメージを膨らませることになりました。
少し喉が乾いてきたので、このようなものを・・・。
「入り口のところは“シュッ”としててね、その後、5月の乾いた風が“フワッ”と吹いてきて、それから心に“スウッ”としみ込むもの」
「かしこまりました」

じゃ、アタシは、とタカハシのオーダー。
「手触りは“柔らかい”の。でも“芯はある”カンジで、しっかりと“包みこんでくれる”もの。名前は・・・“ジョン”」
「かしこまりました」
「あ、それで、ジョンは“毛足が長い”カンジなの」
「かしこまりました」

それから数分の後、目の前に差し出されたカクテルを飲んで目を丸くする二人。
「ジョ! ジョンだぁ~」
「シュッとして、フワッとして、染み込む~!」
「しかもコレ、毛足がホントに長いよー」

これにはさすがに感心した二人。バーテンダーって、クリエイティブな職業だなぁ~。
「さすがですね」
「仕事ですから」ふふふ。

よーし。んじゃ次回はもっとすんげーイメージでオーダーしちゃうぜ! モノカキを客にしたのが運の尽き。
「19世紀も末のフランスとオーストリアの国境にほど近い田舎町。みな正直者だが貧しいドヌーヴ家の三人娘の末っ子ソフィーが夜ごと見る夢は・・・」

もう、自分がなんていうカクテル飲んでるの知らなくていい。
オレの物語をカクエルしてくれ。

『Blue Storn』
http://www.bluestone.jp/