新NISAがスタートし、日経平均株価が史上最高値を更新する一方で、17年ぶりの利上げとはいえ、依然預貯金利回りは超低水準でインフレに抗しきれないことから、株式投資、なかでも高配当利回り株投資がブームとなっています。


先日、知り合いからも、「大儲けはしなくていいので、高配当利回りの株を買おうと思いますがどうでしょうか?」と聞かれました。


皆さんはどう思われますでしょうか?



確かに、我が国の個人投資家に人気があった値動きの激しい小型材料株やテーマ株に短期売買を行うことより、相対的に安心感や確実性が高いとは思います。



しかし、私は、単純に現時点の高配当利回りとなっている銘柄が決して有利・有望であるとは思いませんし、安心確実だと安易に期待して買うと足元をすくわれるのではないかと考えています(当然株は需給で決まるのでいいと思う人が多ければ上がるでしょうが)。



投資に当たっては、少なくとも、配当と利益との比率(配当性向、特別損益の有無等)を確認することが必要ですし、何より重要なのは、現時点の配当利回り水準ではなく、将来にわたっての見通しです。



企業経営財務理論からいえば、将来の事業環境や成長の見通しが厳しいから、株主は高い配当を要求するもので、本来なら配当等の形で資金を社外流出させず、事業投資にあててもらうほうが株主にとってはありがたいはずです(ただ我が国の企業の多くがただ内部留保を現預金で積み増すだけだったのは問題です)。



ブームの反動で損をするのは、いつも、簡単に儲かると欲に駆られた、遅れてやってきた経験知識に乏しい個人投資家だったなぁと、高次脳機能障害のリハビリ中の20世紀のファンドマネジャーであった私はつくづく思います。