中小企業診断士の方を私は必ず「先生」と呼びます。

所属する研究会でも、「先生とか堅ぐるしい呼び方はやめましょう。」といわれることや、「中小企業診断士ぐらいで先生は面映ゆいですよ。」といわれることがありますが、それでも、私は、場合によってはそうする理由を伝え「〇〇先生」を使い続けています。

その理由とは?

それは、私が、中小企業診断士の三次実習試験を受けていた時に遡ります。
当時、中小企業診断士の資格取得のためには、一次試験、二次試験、そして2週間あまりの三次実習試験に合格する必要がありました。
ただ基本的には、二次試験に合格すればほぼ決まりで、あとは、三次実習試験を無難にこなせばそれで合格証が貰え、晴れて中小企業診断士になれるというものでした。

そのようなことで、軽い気持ちで臨んだ三次実習試験でしたが、これが想像以上のハードさ。
連日、始発で家を出て、終電で帰る。そして一~二回は指導官の事務所で泊まり込みをやったように記憶しております。
当初、なぜ中小企業診断士資格程度でここまでやらなければならないのかと疑問に思っていた私でしたが、その理由は、終了証授与式の時にわかりました。

それまで、我々を君付けで呼んでいた指導官のH先生が、メンバー一人づつを〇〇先生と呼び、最後に、こう語りかけました。

「現在、残念ながら中小企業診断士は、それほど地位のある資格ではありません。
しかし、私たち中小企業診断士に期待される使命は、専門的な知識・能力で中小企業を支えお役に立つという崇高なものです。
だからこそ、診断士となった私たちは中小企業診断士の資格の意義を高める使命も持っています。
だから、三次実習も資格に愛着を持ってもらうために厳しいものにしました。
そして、これから、皆さんは、中小企業診断士同士では先生と呼び合ってください。
恥ずかしさはあるかもしれません、しかしそれは先生と呼ばれるには恥ずかしいという現れです。
先生と呼び合うことで、先生と呼ばれるにふさわしい中小企業診断士になろうと感じ、行動してください。」と述べられたのです。

私は感動しました。
そして、不二城は、その日以来、中小企業診断士の資格を卑下することは止め、中小企業診断士の方を必ず先生と呼ぶことにしたのです。

教師、医者、弁護士、代議士等々「先生」と呼ばれる業種は、多くあります。
「先生」と呼ばれることにただ優越感を感じるのではなく、その裏には、その使命の重みのを感じ、行動する必要があるのではないでしょうか?

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