俺たちにとって
おいしい役というのがある

そのドラマの中で

存在感を出せるとか
印象にのこる役のことだ

二時間の刑事ドラマでの
おいしい役は
刑事か犯人ということになる


佐藤浩市君が主演の
棟居刑事シリーズで

犯人をやったことがある

俺としては
むちゃくちゃおいしい役だ

オンエアが終わって
母から電話がきた

頼むからあんな役はやめてくれ
という内容だった

母親としては
息子が手錠につながれるシーンは
いたたまれなかったのだろう

確かに

普通の人のおいしい役は
いい人なんだろうけど

俺は

母に対して説明のしようがなかった

だから
いまでも

犯人役がくると

亡き母のことを思い出してしまう



母が亡くなった日