はじめて
ドラマをやらせていただいた時
三回連続で
中村雅俊さんとご一緒したことは
前回書きました

結婚の理想と現実 
田中美佐子さんが、ヒロイン

愛情物語 
真屋響子さんが、ヒロイン

太陽がいっぱい 
牧瀬理穂ちゃんがヒロイン


一番覚えているのは
愛情物語だな

若い時
ビートルズのコピーバンドをやっていて
それぞれ大人になって
私生活でいろいろ悩んだり
辛いことがあったりで
また集まって
ビートルズをやるみたいな話なんだけど

雅俊さんの他に
俺と
シーナ&ロケッツの鮎川誠さん

もちろん鮎川さんはギターで
雅俊さんはベースとピアノ

でどういうわけか、俺がドラム

この三人で
歌と演奏をするんだ

この話が決まった時

音楽好きな三人だから

自腹でスタジオ借りて
バンド練習したりした


ポールマッカートニーの
ロングロングワイディングロードを
演奏するシーンがあった


少しセリフを言って
雅俊さんが
おもむろに座り
ピアノを惹いて歌いだした

演奏が終わる頃
サブから

サブというのは
映像と
音を収録している別部屋のこと

そのサブから
ストップがかかった

なにか雑音が入ったので
やり直してくれということだった

最初からもう一度だ

しかし、なんどやっても
ストップがかかる

サブが言うには

雅俊さんが座る時
声を出しているということだった

雅俊さんは
半分怒りながら

俺、絶対そんなことしてないよぉ

いつものこもった声で反論した

ま、とりあえず

いまのシーンを
一回見てみようということになった

問題の雅俊さんが座るシーン

ハッキリと

    よいしょ 

と言って座っていた


みんなで雅俊さんの顔を見た


い、いや、俺、無意識で


無意識はまずいだろ


完全なおやじだ

いまは
あれから何年もたっているので

雅俊さんは

もっと

おやじになってるんだろうな