60歳を少し過ぎたばかりの友人夫婦が「シルクドソレイユ」の公演を観に東京へ行ってきた。
シルクドソレイユには興味があるので、「どうだった?」と聞くと
「それより、東京には人がたくさんいて、ビルばかりでびっくりしたわ」と、昭和一桁生まれのおばあさんみたいなことを言っている。
英語もほとんどしゃべれないのに、ひとりでロスアンゼルスまで行った人の言葉とは思えない。
「新橋でゆりかもめに乗る時に、券売機があって、本当にほっとしたのよね」と言う。
「えっ、suica持ってないの?」と聞くと
「スマホには入っていて、コンビニとかでは使ったことはあるけど、どうやって電車で使えばいいかわからないんだもの」という。
「かざすだけで、いいんだよ」というと「どこから乗って、どこでおりるとか入力しなくていいの?」という
「そんなの、みんな機械がやってくれるからいいのよ」と言っても、納得できない顔をしていた。
そういう私だって、初めて電車で使うときにはドキドキした。
残額があっても、一定期間使わないと一時的に使えなくなることを知らないで、ガムを買って、suicaで払おうとしたら「使えません」と言われ、乗っ取られたのかと目を丸くしたこともある。そんな時は窓口に申し出れば、すぐに駅員さんが使えるようにしてくれる。
普段の生活では電車に乗らない我が家では、suicaを使う前には使える状態かどうか、確認してから出かけるようになった。改札を出ようとして、バーでブロックされるのは、気分が悪いから。
義兄夫婦と私たち夫婦で東京に行った時に、義兄たちは紙の切符を買おうとして、券売機を見つけてほっとしたものの、間違って韓国語表示の場所にさわってしまって、全面韓国語の案内になり、義理の兄は機械の前で固まってしまった。
夫が駆け付け、料金の数字を手がかりに、ハングルのぜんぜんわからない日本人が韓国語表示の券売機で切符を買った。
その後、私と夫はsuicaで改札を通り、後ろを見ると義兄たちがいない。紙の切符の改札は、とんでもなく離れたところにあったようで、しばらくしたら、現れた。
年を重ねた男の人は、人に聞いたり、教えてもらうのが必要以上に嫌らしい。すぐに「そんなことは、知らなくていい。」とか「今までのやり方でどうしていけないのだ」などと言い始める。
それに比べて女性は、困ったら聞けばいい、と考え方が柔軟のような気がする。
あまりとんちんかんなことを聞いて若い人を困らせるのは慎みたいが、これから生きていくのに必要なことくらいは、多少の失敗は気にしないで経験しよう。