*本記事は2018年5月7日にyahooブログに投稿したものです。yahooブログ閉鎖に伴いこちらに転載しました。
名探偵コナン ゼロの執行人
制作国:日本(2018)
監督:立川譲
脚本:櫻井武晴
出演:高山みなみ、山崎和佳奈 他
あらすじ
東京サミットが開催される東京湾の新施設、エッジ・オブ・オーシャンで爆破事件が起こる。サミット前に爆破事件が起きたことと、全国の公安警察をコントロールする警察庁の秘密組織“ゼロ”に所属する安室透の不可解な動きに、コナンは違和感を抱く。そして、毛利小五郎が事件の容疑者として逮捕され……。(シネマトゥデイ)
評価:★★★☆☆
◆感想(ネタバレなし)
コナンは漫画を何巻か読んではいるので基本的なキャラクターはわかりますが、アニメも漫画も最新のものを追ってはいません。映画を観るつもりはなかったのですが、どうも評判が良さそうなので観てきました。観終わったあとの感想は「劇場版のコナンってこんなに小難しかったっけ?」でした。1回しか観てないのですが、その1回だと細かい推理のロジックが理解しきれていません。
普段はミステリー要素はそこそこで、クライマックスに向けたアクションが見せ場の劇場版コナンでこれは結構意外でした。ただ、致命的な弱点だと思う部分も実はあったりします。これについてはネタバレあり感想に書きたいと思います。総じて劇場版のコナンに求められることを一通りきちんとやった作品、というのが私の感想です。
*ここからネタバレです
◆ネタバレ
犯人は検事の日下部。日下部には以前協力者がいたが、その協力者が日下部のために違法な捜査をした際に、公安検察に捕まり取り調べの後に自殺してしまった過去があった。今回の犯行は自分の協力者を殺した公安警察に対する復讐が動機だった。しかし、日下部の協力者は秘密裏に安室が保護しており無事だった。日下部がNASAをハッキングしたことによって警視庁に小惑星探査機が墜落する危機が迫っていたが、コナンと安室の協力によってそれも回避された。
◆感想(ネタバレあり)
今作の脚本の櫻井武晴は『相棒』の脚本を手掛けていらっしゃる方だそうです。そのせいかわかりませんが、今作の少しダークな雰囲気や物語があまり停滞せず次々と風呂敷が広がっていく感じは『相棒』とよく似ていたように思います。
ただ、悪いところも『相棒』に似ていたと思うのです。それはサイバー犯罪が割と簡単に出来てしまうことです。今作でも、一応の理由づけはあるとはいえ、犯人の日下部は簡単にハッキングが出来てしまいます。ただ、クライマックスのコナンと安室のアクションの文字通りの「ぶっ飛び具合」を観ると、一介の検事が簡単にサイバーテロをするなんてリアリティが無い、なんてことを考えた方が悪いという気持ちにもなってきます![]()
本作のより中核的な問題は劇中の登場人物が主張する社会的問題に観客が共感しにくい、もっと言うとその問題が実在するのかもよくわからないことです。これが今作のなんとなく話が1回だと飲みこめないことの原因になっていると思います。具体的に言うと安室が検察に民間人の協力者がいることを問題視するのですが、それはこちらにとっては日ごろ感じることのない新規の社会問題なのでちゃんと説明してもらえないと分からなかったです。特に今作では公安警察に民間人の協力者がいることも描かれていて、それについては全く問題視されていないので余計に混乱しました。同様に犯人の日下部は、公安警察に度々検察が圧力をかけられることの不満を訴えるのですが、これも圧力をかけられた結果どういう問題が起こるのかまでは描かれないので、なんだかよくわからず終わってしまいます。結局劇中で語られるこうした社会的問題の説明が不十分なので、本当にその問題が実在するのかもよくわからりません。別に実在しなくても良いのですが、結局この部分でのわかりにくさがエンターテイメントとしての飲み込みにくさに繋がっていることに変わりないので、どちらにしてもあまり巧くないと思います。
ただそれでもクライマックスでテーマ曲と共に展開されるアクションにはちゃんと上がりますし、漫画版にはないスケール感をきちんと出せていたので、ネタバレなし感想で述べたように、劇場版コナンとしてやらなくてはいけないことはきちんとやった作品だと思います。
細かいところですが、冒頭で爆弾…と思わせて実は阿笠博士のドローンで子供達が遊んでいるだけでした、というシーンは普段のコナンあるあるを逆手に取っていておもしろかったです。
◆まとめ
・劇場版コナンとしてやるべきことは押さえている作品
・劇中の人物の主張の飲み込みずらさがストーリーそのものの飲み込みづらさにつながっているのが難点