*この記事は2018年9月6日にyahooブログに投稿したものです。yahooブログ閉鎖に伴いこちらに転載しました。
ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男
制作国:スウェーデン、デンマーク、フィンランド合作(2017)
上映時間:108分
監督:ヤヌス・メッツ
脚本:ロンニ・サンダール
出演:スベリル・グドナソン、シャイア・ラブーフ 他
あらすじ
端正なマスクと、コート上での冷静沈着なプレイから「氷の男」と呼ばれたビヨン・ボルグは、20歳でウィンブルドン選手権で初優勝し、4連覇の偉業を成し遂げた。絶対王者として君臨するボルグの前に現れたのが、宿敵ジョン・マッケンローだった。天才的な才能を持ちながらも、不利な判定には怒りをあらわにして審判に猛烈に噛み付いていくマッケンローは「悪童」と揶揄された。80年ウィンブルドン選手権決勝戦のコートで、そんな真逆の個性を持つ2人の天才が対峙する。
評価:★★☆☆☆
◆感想(ネタバレなし)
ボルグとマッケンローについて描いた映画ですが、北欧の作品ということでややボルグ寄りだった気がします。
全体的な感想として割と“雑”な映画だと思ってしまいました。個々のパーツとしての場面場面は良いのだけれど、それらがまとまっていないというか、お話全体としてはなんか上手く統合されていない感がありました。
それが象徴されているのが本作のテニスのシーンのような気がします。。ボルグの両手打ちバックハンドやマッケンローのクローズドスタンスでのサーブなどそれぞれの選手の打ち方そのものは再現性が高いにも関わらず、試合のシーン全体としてはリアリティが乏しい描き方でした。このあたりは非常にテニスの描写を丁寧に描いた『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』と対照的だったと思います。
もちろんテニスは背景であって本質的に書きたいのは人間ドラマだったのだと思いますが、そっちもなにかつぎはぎ感というか、個々に良さげなシーンはあるけど全体として物足りない感じはしてしまいました。なにか本来もう少し描いて欲しかった部分が抜け落ちてしまっていたように思いました。
*ここからネタバレです
◆ネタバレ
少年時代のボルグ(レオ・ボルグ)は実は癇癪持ちで多くの選手とその保護者から非難を受けていた。しかし、彼を見出したコーチのレナート(ステラン・スカルスガルド)によって冷静さを保つことを教え込まれる。
ボルグはウインブルドン5連覇の重圧に苦しみつつ死闘の末に決勝でマッケンローを破ってタイトルを獲得する。
◆感想(ネタバレあり)
ボルグが少年時代に癇癪持ちだったということことから冷静な選手に育っていく過程は割と重要だったと思うのですが、カットが変わるともう冷静な選手に変わってしまっていてなんだかもの足りない感じがしてしまいました。
マッケンローもこの試合で紳士的な態度だったためにイギリスのファンに認められたとされていますが、マッケンローは世界的にはあの悪童ぶりに人気があったわけですし、テニスというスポーツそのものに対しては最初から真摯であったわけなので、この試合を通して何かが変わったわけではない感じがします。
総じて物語的なクライマックスであるウインブルドンの決勝と二人の主人公、ボルグとマッケンローの感情的な頂点や成長のポイントが噛み合っていない感じがするのです。史実はともかく映画の造りとしてはあまり上手くない気がします。
◆まとめ
・個々の場面場面は良いが、全体的にまとまってない印象を受ける
・物語の場面的なクライマックスと登場人物の感情的な頂点とが上手く噛み合っていない