名探偵ピカチュウ
制作国:アメリカ(2019)
上映時間:97分
監督:ロブ・レターマン
脚本:ダン・ヘルナンデス、ベンジー・サミット、ロブ・レターマン、デレク・コノリー
撮影:ジョン・マシソン
出演:ジャスティス・スミス、キャスリン・ニュートン 他
あらすじ:子どもの頃にポケモンが大好きだった青年ティムは、ポケモンにまつわる事件の捜査へ向かった父ハリーが家に戻らなかったことをきっかけに、ポケモンを遠ざけるように。ある日、ハリーの同僚だったヨシダ警部から、ハリーが事故で亡くなったとの知らせが入る。父の荷物を整理するため、人間とポケモンが共存する街ライムシティへ向かったティムは、自分にしか聞こえない人間の言葉を話す“名探偵ピカチュウ”と出会う。かつてハリーの相棒だったという名探偵ピカチュウは、ハリーがまだ生きていると確信しており……。
評価:★★☆☆☆
◆感想
私はポケモンのゲームの一番最初のもの、いわゆる「ポケットモンスター赤、緑、青」で子供のころ遊んだ世代です。友達もみんなゲームを持っていて、間違いなくこの頃の遊びの中心はポケモンでした。私はフシギダネがお気に入りだったのですが、なぜか私の周りはヒトカゲを選んだ子ばかり…。通信ケーブルで対戦しようものなら、やっとフシギダネから進化した私のフシギソウは、私よりだいぶ進行の速かった友人たちのリザードンにボコボコにされてしまったのでした
同じ時にポケモンをやっていた人なら似たような思い出のある人もいるのではないかと思います。その後「金・銀」というシリーズが発売されていくわけですが、割とゲームに厳しい家庭だったため「金・銀」までは親にねだれず、私のポケモンマスターを目指す旅は「赤・緑・青」で終わってしまいました。それ以降、知らないポケモンもどんどん増えてしまい、ポケモンというコンテンツからは段々と私は疎遠になってしまったので、今作は久しぶりのポケモンとの再会でした。
私が遊んでいた当時のゲームボーイはまだモノクロで粗い画質でした。それが今や3DCGで実際の人間と共演するようになったのですから、映像技術がいかに進歩したかということでしょう。できれば日本で作って欲しかった…とは思いましたが、CGにかかる予算を考えるとやっぱり日本ではまだ難しいのでしょう。
前置きがだいぶ長くなってしまったのですが、肝心の今作の中身はというと、良く言えばテンポが良い、悪く言うと全体的に薄味な映画です。割と事態がとんとん拍子で都合よく進んでいってしまう感がありました。主人公たちが主体的に自体を解決していくというより、運よく勝手に解決されていった印象が残ります。お話として軽いのは悪いことではないのですが、もう少し話運びを工夫して欲しかったと思ってしまいました。
*以下ネタバレを含みます
◆ネタバレ
ライムシティの報道機関の実力者であるハワード・クリフォード(ビル・ナイ)から、父親が生きているという情報を得たティムとピカチュウは偶然知り合った記者のルーシー(キャスリン・ニュートン)と共にポケモンの遺伝子を研究する施設に向かう。ティムとピカチュウはそこで研究に使われていたミュウツーが暴走する記録映像を目にする。施設から出た道中でピカチュウが怪我をしてしまう。そこにミュウツーが表れてピカチュウの怪我を治す。ティムの父親は不当な実験に使われていたミュウツーを研究所から解放したため、研究を指示していたハワードに襲撃されたのだった。ミュウツーはハワードに再び捕らえられ、身体をハワードに乗っ取られてしまう。ティムとピカチュウはともにライムシティでハワードの計画を打破し、ミュウツーを再び解放することに成功する。ミュウツーは負傷したティムの父親の身体を預かっており、それを再び魂と融合させる。魂を保管していたのは相棒だったピカチュウだった。
◆感想(ネタバレあり)
全体的に作劇としてはあまり上手くなかったと思います。
『名探偵ピカチュウ』というタイトルの割にピカチュウが探偵らしいことをする描写はほぼありません。ピカチュウの正体が実は父親だったというオチを考えると、やっぱり推理力のある描写はあった方が良かった気がします。例えばティムとピカチュウがバディを組むに際して、ピカチュウが何か推理を披露してティムがその能力を信頼する、とかだと巧かったのではないかと思います。
ヒロインのルーシーは物語の主要人物としてほとんど機能していなかったのも気になりました。ここまで機能しないなら、このキャラクターを出さずにもっとピカチュウとティムとのバディものにフォーカスして良かったのではないでしょうか。
個人的にはピカチュウ=父親でした、というオチもなんとなく納得いきません。ピカチュウとティムの関係は親子というより友人に近かったと思うで、実は父親だったというオチは非常に違和感がありました。あくまでティムとピカチュウの関係は友人のものとして留めておいて、父親との関係は何か別の形で改善を描いた方が良かったように思います。
ポケモンと人間との共存描写は子供の頃に夢見た世界を再現してもらえたようで嬉しかったのですが、ひとつだけ苦言を呈すと乗り物の描写はもう少し工夫が欲しかったです。普通に自動車と新幹線で移動してしまうのですが、ここはやっぱり何かポケモンの背中に乗ったり、ポケモンが動力源になっている乗り物の描写が欲しかったです。
◆まとめ
作劇にもう一工夫欲しい作品