深作欣二『復活の日』

角川エンタテインメント
復活の日 DTSプレミアムBOX
みんなどうしたんだ? というくらいに評価の高い一編で、監督・深作が、これ以上金を遣った映画はいままで撮ったこともないしこれからも撮らないだろうというくらいに大掛かりであることは、一瞥すればすぐさま理解できる。
南極でのロケ、カナダ、チリから借りた潜水艦を思い切り使いまわす贅沢振り、ほんの数秒のカットのために全世界を飛び回る手間のかけ方など、角川春樹が提示した金額を軽く上回ってしまっても致し方ないといえる。小松左京の原作にない、滅亡を免れ南極に取り残された約800人の男女のセックスと生殖の問題など、シナリオもなかなか考えてある。
それでも金をかけた割には緊迫感や悲壮感などがいまひとつ伝わってこない。たとえばラスト近辺で草刈正雄演ずる地震学者が、朽ちた死体(本物を使っているそうだ)あふれる教会のなかでキリストと思しき何ものかと謎の対話をするシーンなど、発狂者の脳内対話にしか思えないような安易な撮り方で、ここで感動したという御仁には悪いが、崇高さを出そうとしたあまりのとてつもないステレオタイプな絵と展開に、コーヒーを思わず噴出しそうになってしまった。比較するのも変な話だが、人類滅亡後に誕生した奇怪な生物と食人描写のためにタブーとなっているあの『ノストラダムスの大予言』のほうが、画像から伝わる異様な迫力はうえだった(ノストラダムスの詩をナレーションで入れる岸田今日子が雰囲気をえらく出してたが、もちろん『大予言』はかなりあほな映画である)。
とりあえず深作は世界に通用する娯楽大作を狙っていたようなので、その意味ではまあ及第しているといえそうだ。ただしこれで感動とかそういうのは違うよな、人類やら神やらを思索するような映画じゃございません。
なおこのDVDには、本編を前にして監督や美術担当の面々が思い出話や裏話を延々と話し続ける副音声が入っているのだが、これがまことに素晴らしい。こいつのおかげで、このDVDはその価値が何倍にもなったといってよい。本編観劇後に見れば、興味倍増である。
★★★☆☆