「壮大」と名づける(島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』) | 灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし

「壮大」と名づける(島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』)



島田 荘司
北の夕鶴2/3の殺人

タイムリミットと鎧武者が義経伝説を背景に登場するという事件、さらに吉敷の妻が容疑者という相当に複合した要素で構成された一冊。

抱き合うように互いの胸に包丁をつきたて死んでいた二人の主婦。このトリックは島荘らしい、皮肉交じりでいえば「壮大」で、実に立体的なものだが、それが意識朦朧たる吉敷の夢によって解決されるのは問題だ。

これでは「論理の過程」があまりにおざなりで、トリック展覧会みたいなものだ。評価は高いが、ミステリとしてはどうだろう。あまりにも論理を軽視しすぎている。

★★★☆☆