宙に開く扉は殺人の凶器である
高木 彬光
『死を開く扉』(角川文庫)
ちょっといっちゃった資産家が二階の自分の部屋に「超芸術トマソン」扉を設置し、「四次元の扉」とか強弁しているのはいいんだが、オカルト書籍を熱心に翻訳中、無残やなきりぎりす、あえなく射殺。
拳銃は部屋から発見されず、完全な密室状態。資産を狙う胡散臭い家族のなかで、松下研三や捜査陣は犯人が通過したと思しき「四次元の扉」に犯行の核を嗅ぎつける。一方「宙に開く扉は殺人の凶器である」ともったいぶって電話で告げたまま、神津恭介は一向に現地に現れる気配はない…
といった話だが、1957年=昭和32年という清張ブーム真っ盛りのなかで時流に抗して発表された本作は、現在ならなんてことはないバカミスとしてファンの暖かい嘲笑を受けるだろうが、当時いったい幾人の人間が本作品を評価しただろうか。
彬光は「破格探偵小説」といった概念をどこかで提出していたが、確かに本格でありながらそこから身を引き剥がすような、読者をはぐらかすような、某作品のパロディにも似た本作は、そのひとつの典型といえそうだ。
凡庸だが、彬光に強烈なアイロニーとパロディ精神が横溢した独特の一編といえる。ただし率直にいうと、おもしろくない。
初出:「四次元の目撃者」(1957・9-10『宝石』)を長編化
初版:1957 東京文芸社
★★☆☆☆
『死を開く扉』(角川文庫)
ちょっといっちゃった資産家が二階の自分の部屋に「超芸術トマソン」扉を設置し、「四次元の扉」とか強弁しているのはいいんだが、オカルト書籍を熱心に翻訳中、無残やなきりぎりす、あえなく射殺。
拳銃は部屋から発見されず、完全な密室状態。資産を狙う胡散臭い家族のなかで、松下研三や捜査陣は犯人が通過したと思しき「四次元の扉」に犯行の核を嗅ぎつける。一方「宙に開く扉は殺人の凶器である」ともったいぶって電話で告げたまま、神津恭介は一向に現地に現れる気配はない…
といった話だが、1957年=昭和32年という清張ブーム真っ盛りのなかで時流に抗して発表された本作は、現在ならなんてことはないバカミスとしてファンの暖かい嘲笑を受けるだろうが、当時いったい幾人の人間が本作品を評価しただろうか。
彬光は「破格探偵小説」といった概念をどこかで提出していたが、確かに本格でありながらそこから身を引き剥がすような、読者をはぐらかすような、某作品のパロディにも似た本作は、そのひとつの典型といえそうだ。
凡庸だが、彬光に強烈なアイロニーとパロディ精神が横溢した独特の一編といえる。ただし率直にいうと、おもしろくない。
初出:「四次元の目撃者」(1957・9-10『宝石』)を長編化
初版:1957 東京文芸社
★★☆☆☆