こんにちは、

土井です。

 

毎月

いろんな精神的障害を持った方の

カウンセリングを行っていますが

 

その原因については多くの場合

なかなか特定することが難しいのが現実です。

 

「トラウマ」という言葉があります。

日本語では「心的外傷」というのですが

肉親の死や震災などによって

強烈なダメージを受けた時の「心の傷」のことを言います。

 

子どもの場合は精神的に対応能力が未だ不十分なため

トラウマを生じやすいのは確かです。

 

ですから

この度の能登半島沖震災によって

被害を被った子どもたちの場合も

「心のケア」はとても大切であると思います。

 

しかし成熟した大人の場合

大きな衝撃となる出来事に遭遇しても

それを乗り越えていくことができるはずですが、

 

人によってはいつまでもその影響を受け続けており

「トラウマ」と言ってもいいように思われる場合があります。

 

この点について

最近特に注目されている心理学に

アドラー心理学があります。

 

 

岸見一郎さんの『嫌われる勇気』

という本がよく読まれており、

そこで割合分かりやすくアドラー心理学が

紹介されています。

 

このトラウマについてアルフレッド・アドラーは

「トラウマは存在しない」

という説を唱えています。

 

アドラーによると

どんなに強烈なダメージを受けた出来事でも

それが原因で「心の傷」を残すとはいえず、

 

後遺症と思われていることは

ある「目的」のために心がそこに留まっているだけだ

というのです。

 

このアドラーの理論を理解するには

 

「人生は今ここにしかない」

 

という実存的な考え方が必要だと思います。

 

震災であったり肉親の死であったり

起きてきたことはすでに過去の事であり

 

過去のの事実に対してどういう「意味」を見出し

そこからどんな「目的」を定めるかによって

今現在の生き方が決まるのです。

 

過去の出来事によって現在が決定されると考えるのは

あまりにも人としての主体的な生き方を無視した考え方である

といっていいでしょう。

 

 

Aさんのケース

 

Aさんは結婚して夫も子どももいますが

50歳過ぎてからうつ病になりました。

 

彼女はその原因について

高校生の頃に近所の方への挨拶をしなかったことが

トラウマとなって自分を責めてしまうからだ

と思い込んでいました。

 

幼少の頃、仲の悪い両親の姿を見て育ったため

自分はいい子でなければいけない

自分が親を困らせると両親の仲が余計悪くなる

と思ったそうです。

 

そのうえ長女だったために

いつもいい子でなければいけない

という思いが強く完璧主義の性格になったようです。

 

近所の人への挨拶をしなかったことで

その人がいかに不快な思いをしたかを思うと

いつもそのことを謝らなければいけない

と思いながら時が過ぎてしまい、

 

ますます自分を責めるようになって

うつ病にまでなってしまった

と彼女は思っていました。

 

この現象をアドラー流に考えてみると

彼女が近所の人にあいさつをしなかった

ということが「原因」でうつ病という結果が生じたのではなく

 

完璧主義で

挨拶をしなかったという出来事に対して

必要以上に自分を責めて自分を許すことができず

 

無意識のうちに自分を罰するという「目的」のために

「うつ病」という病気を引き寄せた

考えられるのです。

 

Aさんは当初『嫌われる勇気』の本を読んで

「トラウマは存在しない」という考えに

同調できないといっていました。

 

しかしカウンセリングを通して

自分の完璧主義の性格に気が付き

 

「近所の人に挨拶をしかった自分」を

許すことができるようになると

うつ病は次第に消えて行ったのです。

 

 

今に生きるのが人生

 

過去の経験や体験はすべて

それにどういう「意味」を与えるか

そこからどんな「目的」を見つけるかによって

自分を成長させ人生を前に進めることができるのです。

 

しかし私たちはともすると

衝撃的な出来事のせいで今が生き苦しくなる

と考えがちです。

 

それはいつまでも「過去」にとどまっている考え方であり

「今に生きていない」と言っても過言ではありません。

 

中学生だった子供を交通事故で亡くしたOさんが

いつもそのことを思い出して悲しみ

前に進んでいけなかったのは

 

楽しかった「子どもとの過去の思い出に生きる」という目的

選んでいたからだということができます。

 

その目的を「亡くなった子どもに恥ずかしくない生き方をする」

という目的に置換えることによって

Oさんは「今に生きる」ことができるようになったのです。

 

トラウマを否定するアドラーの考え方は

まさに「今に生きる」ことによって人は幸せを創りだす

という真理を教えているのではないでしょうか?

 

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