こんにちは、
土井です。
ひと昔前なら残暑見舞いを出す時期ですが、
残暑どころた本格的な暑さがいまだに続いています。
いかがお過ごしでしょうか?
このたびは現代の子育ての問題について書いています。
前回の最後に次のように書きました。
人は誰でも自らの力によってこの人生を切り開き
誰にも邪魔されることなく
世界に唯一の個性を開花させるために生きているのである、
という真理を学ぶ必要があるのです。
この真理に立った時
子育ての多くの間違いに気がつく
のではないでしょうか?
現代の多くの親が子育てについて
これまでの研究の成果を学ぶことなく、
自分の経験や願望に基づいて子どもを育て
その結果多くの人が自由な人生を歩むことができなくなり
精神的な病気になったり生きづらい人生を歩む
ということになっているのです。
反抗期という言葉について
一般的に「反抗期」という言葉がよく使われていて、
ママ友の間でこんな会話が聞こえてきます。
「もうそろそろ反抗期みたいねお宅はどうですか?」
「今うちの子は反抗期だから何を言ってもダメなのよ」
「反抗期が過ぎるまで待つしかないわね」
こういう会話を聞くと
まるで他人事のように思われます。
このような「反抗期」という言葉の使い方に
私はいつも違和感を覚えてきました。
なぜこういうことになってしまったのでしょうか?
そもそも「反抗期」という言葉は
どこから来たのでしょうか?
いわゆる「第二反抗期」といわれる12歳から14歳ころについて
第二次大戦後まもなく多くの研究結果が発表されました。
大阪教育大学の白井利明教授によると、
シャーロッテ・ビューラーの『青年の精神生活』やブーゼマンの『青年の危機』
という書物の中にその記述があります。
この時期は多くの子どもたちが親や大人たちに対して
反抗的な態度をとる現象が見られ
それに対してドイツ語のtrotzphase という用語が使われたました。
trotzは「反抗する」で、phaseは「時期」ですから
その言葉に日本語の「反抗期」という訳語が当てられたようです。
しかし、ビューラーによると
この時期が必ずしもすべての青年が反抗的になるのではなく
「苦痛なく平穏に行われる青年の独立もある」といいます。
「ある男子は落ち着いたしっかりとした独立性を持ち、彼は自分では他からも邪魔さ
れない大人としての生活をしているから、衝突も起こることがないという。ある女子
は母からいつも女友達として扱われ、自分のことは自分に全面的にまかされていいた
から、ここでも衝突は起きなかったという。ビューラーは素質に恵まれている青年の
場合には、両親が自分の権威を示すという迷妄を捨てれば、青年の生活における摩擦
はなくなるし、そうして差支えがない、というのである」
(白井利明『青年心理学からみた第二反抗期』)
この記述から考察すると
1 すべての青年が一様に反抗的になるわけではない
2 一部かもしれないが、大人に対して反抗することなくその時期が過ぎる青年がいる
3 後者のケースは素質に恵まれた青年である
ということができます。
そこで問題になるのは、
1 このような結果にもかかわらず「反抗期」という言葉を使用したことが
適切であったかどうか
2 反抗的でない青年は本当に「素質に恵まれていた」といえるかどうか
すでに前回モンテッソーリの研究でお伝えしたように
人はすべて自分自身の力で成長していくことができるのです。
大人がするべきことは彼らの成長をいかに支え援助するか、
ということです。
すでにイタリア人のモンテッソーリが
このような研究成果を発表していたにもかかわらず
ドイツ人研究者たちがなぜ「反抗期」という言葉を使用したのか、
不可解というほかありません。
子どもが反抗的になるのは
親や大人が子どもの表現を抑圧したり
むやみに干渉しりするからなのです。
反抗期は成長期である
その後の研究によって
青年が社会や親に反抗するのは「反抗期」だからではなく
自我の伸長によって理不尽と思われることに対する
自己主張であるという見解が一般的になりました。
ですから大人がそのことを理解して
一人の人間として相手の人格を尊んで接すれば
青年は反抗する必要を感じなくて済むのです。
しかしこのような研究結果は
なかなか一般社会には浸透せず
「反抗期」という言葉がひとり歩きしているのが
現状ではないかと思われます。
このことについて
児童心理学の研究者は大いに反省しなければならない
のではないでしょうか?
「反抗期」という言葉は
子育てをしている親にとってとても都合のいい言葉です。
子どもが親の言うことを聞かない時
親は自分の在り方を振り返らなくても
「反抗期」というレッテルを張ることによって
自分の責任を回避できると思うからです。
その姿がまさに最初に挙げたママ友の会話です。
ちなみに、ある研究によると
反抗する相手について
母親46% 父親29% 先生11%
という結果が報告されています。
(愛媛大学 江上園子、田中優子)
父親や学校の先生は
比較的冷静に客観的に子どもに接しているようですが、
母親は子育てに対して真剣であるがゆえに
どうしても自分の思いを子どもに押し付けがちで
冷静さを欠いてしまいがちである
ということができるかもしれません。
しかし、これは母親だけの責任ではないと思います。
子育て中の親は
父親が子育てに対していかに関わってきたかを
このデータを見て考え直してほしいものだと思います。
また子育てを終わった人は
自分たちの子育てについて反省する
材料にしてはどうかと思います。
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