4月21日にうまれたあなた、お誕生日おめでとう
お誕生日だったよ!
周回遅れになってますが、生温かくみまもってくださーい!
「花道は、自分で決めよう!」
炎の男と呼ばれた
あるチャンピオンの物語。
日本王者を5連続KO勝ちで防衛。
キャンプを張っている時アパートが火事になった。
押入れにコツコツ貯めていた22万円がすべて灰になってしまった。
22万円は今の価値で言うと220万円だった。
そんな彼に、タイトルマッチが組まれる。
相手は東洋ジュニアミドル級王者金沢英雄。
条件はノンタイトルでファイトマネーなしという屈辱的なものだった。
しかし彼は、これを承諾する。
見事に勝利し世界ランク10位以内に入り、
世界挑戦への切符を手にした。
当時は世界ランク10位以内に入っていなければまず世界挑戦はできなかった。
試合でKOされ、入院を余儀なくされた際に医師は妻にこう言った。
「あんなダメージを負った以上、今後ボクシングを続ければ命に関わる。奥様からも引退を考えるよう諭してほしい」
「傷付けないよう、それとなく告げよう」
そう考えながら妻が病室に戻ると、彼はベッドの上で黙々と腕立て伏せをしていた。
妻は呆れて説得できなくなったという。
「あなたは人気者だから金はボクシング以外でも稼げるだろう」
周囲から引退を勧められると、断固拒否した。
「無くした金は諦めてしまえばそれで済みます。
しかし人間が意地というものを一度手放したら、一生手元には返ってこない。死ぬまで後悔することになるんです」
柳済斗にKO勝ちし王座に再びついた際、知人は助言した。
「チャンピオンのまま引退するのが美しい去り際ではないか」
彼は、笑いながらこう答えたという。
「俺は辞めないよ。
チャンピオンのまま引退すれば、確かに傍目には格好良く映るかもしれない。でも、本当はちっとも格好良くないんだよ。
どうし て引退する必要があるんだ?
次の相手には勝てないかもしれないと考える、負けることを恐れる臆病な心からじゃないか。
見た目や格好を気にすると人は臆病に なる。
体が決定的に壊れてもいない、まだ戦えるのに辞めるのは卑怯だと思う。だったらたとえ負けても闘うべきじゃないか」
日本中を感動の渦に巻き込んだ柳済斗との第2戦の翌日、
都内で強盗が銀行に立て籠もる事件が起こった。
「輪島は逆境から立ち上がってチャンピオンになった。
お前も昨日の輪島の試合を見ただろう。
輪島を見習い人生をやり直せ」
警察官はそう言って犯人を説得したという。
炎の男。
4月21日に生まれた、輪島功一さん。
引退セレモニーの10カウントの時、寂しさからか彼は両耳をふさいでしまったという。
引き時は自分で決めればいい。
最後まであきらめない姿は永遠に記憶に残り
それを人は伝説と呼ぶのだ。
往生際悪くていいじゃないか。
読んでくれてありがとう、またね