6/9鑑賞
「アラビアンナイト」や、リムスキー=コルサコフ作曲の交響組曲「シェヘラザード」が大好き。
だから、それに関連する作品は結構気になっちゃう。
今まで触れた関連作品の中で心底辛かったものは、唯一、森見登美彦さんの「熱帯」だけ。
もうほんっと~~~に辛かった。
あまりにもぶっ飛びすぎてて理解が出来ないし、かなりの長編で読んでも読んでも終わらないし、何度投げだしそうになったことか…😭
以来、アラビアンナイト関連の作品が目にとまる度に「熱帯」を思い出すようになったw
そんなこんなで、アラビアンナイトは全く関係ないけどw「千夜、一夜」というタイトルに惹かれて本作を鑑賞した。
「千夜一夜」って言葉自体がすごく美しいなぁって思う。
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ものすごく重く辛い映画だった。
今現在もそうなのかは分からないけれど、某国の工作員による拉致被害の可能性が考えられる海沿い付近というのは、行方不明者が出た時、そういうことにも考えが及ぶのだなと思った。
何の理由も分からずに、突然行方不明になった愛する人の帰りを待ち続けるって、とっても辛い。
それだけでも苦しくて苦しくてたまらないのに、周囲の目が更に追い打ちをかける。
私は日常を過ごしながらただ待っているだけなのに、周りが勝手に哀れむ。
私に優しさや情をかけていると思わせながら、自分のエゴを押し付けようとする。
私はこのままでいいのに、もう充分だから諦めろとか、前に進めとか、勝手に私の人生に首を突っ込んでくる。
古くからの知り合いばかりの限られたコミュニティだと、尚更。
そんな中、ただただ静かに見守ってくれ、何かを話すと「うんうん」と聞いてくれるお友達の存在はとても大きい。
言いたいことを堪えなくても、愛想笑いで誤魔化さなくても良くて、そのままの私でいさせてくれることが、ほっとする。
「夢に出てきてくれないの」って言ってたけど、まさかそういう事だったとは…😭
夢現の一人語りのシーンは、胸がとても痛くて痛くて…
あの晩の出来事で、一瞬でも心が温まったのならいいな。
主人公トミちゃんをとりまく人の内のひとり、春男。
自分の自堕落を治すために、なぜトミちゃんを使おうとするのか。
そんなにトミちゃんと一緒になりたいのであれば、まずは自ら律して、ちゃんとしてからアプローチをかければいいのでは。
本当にトミちゃんが大好きならば、自分の気持ちを押し付けず、トミちゃんをあるがまま受け止めてあげるべきなのでは。
春男の「好き」は、本当に「好き」なのか?それを口にするたびに、ズルくて弱い男だなと思った。
でも、多分弱いだけではない。
最後の海のシーンは、情けなさではなく男気を感じた。
そんな春男を見ていたら、自分が好意を寄せている人が、ずっと心が傷付いたままで、愛する人の帰りを待ち続ける姿を、ただ見続けているっていうのも辛いよな…と思った。
春男の生死が分かった時の母親の姿がめちゃめちゃ心に来た。
「もう誰も来ない
もう何も来ない
このままでいいのよ
今のままでいいの」
なんて寂しい言葉なんだろう。大切な人との別れは本当に辛い。
トミちゃん:田中裕子さん
トミちゃんの夫:阿部進之介さん
奈美さん:尾野真千子さん
奈美さんの夫:安藤政信さん
春男:ダンカンさん
奈美さんの同僚(後輩?):山中崇さん
みなさん役にピッタリはまっていて、とても良いキャスティング!山中崇さんが好きだから、色んな場面でときめいてしまったw
静かで穏やかだけど、心が熱い映画だった。