フロリダおありというありが足の切断手術をしていた。
 人は3万年前から手術をしていた。
 いろんな動物が手術をしたり治療をしている。
 トカゲのしっぽ切りも自己保存の一つだろう。
 ありは5本の足で歩く。
黒ありしか見たことがないが
集団でコロニーを形成して集団生活をしている。
 コロニー対コロニーは戦いもしたりするという。
けがありも出るという。
 昆虫学者のファーブルも知っていたのだろう。
興味のある記事があった。
以下につけます。

  近年、野生動物がさまざまな方法で治療を行うことがわかってきている。キツネザルは腸内寄生虫から身を守るため、かみ砕いたヤスデを使うことがある。チンパンジーとオランウータンは傷に湿布を貼る姿を目撃されている。そしてついに、フロリダオオアリ(Camponotus floridanus)が「切断手術」を行っていることが、7月2日付けで学術誌「Current Biology」で報告された。ヒトは3万年以上前から切断手術を行ってきたが、動物界では初の事例だ。



 フロリダオオアリのコロニーでの生活は、特にほかのコロニーが近くにある場合、危険と隣り合わせだ。日没後、近くのアリ同士が戦争を繰り広げ、多くの負傷者が出ることも珍しくない。

「腿節(たいせつ、5つに分かれた昆虫の脚の3つめ)から上を負傷した場合、その脚を切断することになります」と、論文の筆頭著者で、ドイツ、ビュルツブルク大学の行動生態学者であるエリック・フランク氏は話す。「脚のもっと下を負傷した場合、驚くことに、切断することはありません」

 しかも、切断するかどうかにかかわらず、治療を受けたアリは、姉妹(働きアリはすべてメス)から遠ざけられて治療を受けられなかったアリより、はるかに高い確率で生き残る。

「脚を切断するという別の治療を行っているだけでなく、傷の状態を正しく診断し、それに応じた治療を行っているのです」。

置き去りにされることはない

 捕食者に襲われると、トカゲは尾を、昆虫やクモは脚を捨てる。これらは自切と呼ばれる防御行動だ。一方、フロリダオオアリの切断手術は全く別ものだ。

 まず、傷ついたアリは喜んで治療を受けているように見える。

「彼らがこの切断手術にどこまでも自由に協力しているのが印象的です」とフランク氏は話す。「片方(のアリ)が傷ついた脚を差し出し、もう片方が何分間も猛烈にかみついているのが見えるでしょう……そして、傷ついたアリは文句を言っていないように見えます」

 アリをはじめとする昆虫が痛みを感じるかどうか、どれくらい感じるかはまだはっきりしていないが、フロリダオオアリの治療選択はうまくいっているようだ。

 腿節より下の部分を負傷した場合、コロニーの姉妹は傷を口で念入りにグルーミングしたが、これはおそらく、致命的な感染症を引き起こす病原菌を取り除くためだろう。論文によれば、下から2つめの脛節(けいせつ)を負傷した場合、巣の姉妹にグルーミングされたアリの生存率は約75%で、姉妹から離されたアリの生存率はわずか15%だった。

 同様に、腿節を負傷したアリは、切断手術の成功率が90~95%だったのに対し、治療を受けなかった場合、約40%しか生き延びることができなかった。サンショウウオなどと異なり、アリの脚は失われたら再生しないため、生き残ることが目標だ。

 傷の手当てをするアリが目撃されたのはこれが初めてではない。フランク氏らは以前、シロアリを狩るマタベレアリ(Megaponera analis)には抗菌性化合物やタンパク質を生成する器官(腺)があり、傷を負ったら、それらをたっぷり塗ることを発見している。

 この器官はほとんどのアリに見られるが、フロリダオオアリは進化の過程で失ってしまったようだ。だからこそ、フロリダオオアリは独自の治療法を進化させたのかもしれないとフランク氏は考えている。

「アリの多様性は、少なくともネズミとゾウあるいはライオンとの違いに匹敵します」とフランク氏は話す。「そのため、アリの種が異なれば、行動のレパートリーや自然史も大きく異なります」

5本の脚で歩き回るアリたち

「とても興味深い発見です」と語るのは昆虫学者のコリー・モロー氏だ。モロー氏はナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)でもあり、米コーネル大学でアリの研究に取り組んでいる。

「この研究者たちは、切断手術によって生存率が高まることを示しただけでなく、孤立したアリは自分の脚を食いちぎることができず、命を落としやすいことも示しました」とモロー氏はメール取材で述べている。

 防衛、子育て、分業に加えて、今回の発見はコロニーで暮らすことのもう一つの利点を示唆している。「仲間に脚を食いちぎられることが、社会生活の利点の新たな例になると誰が想像したでしょう?」とモロー氏は問い掛ける。

 切断手術がアリの間でどれくらい一般的かは不明だが、フランク氏らによる予備的な証拠によれば、同じオオアリ属の近縁種も傷を治療するため、互いの脚を切断している可能性がある。氏の研究チームは、アリはけがの治療法や感染症対策としてほかにどのような戦略を持っているのか、アリはどれくらい痛みを感じられるのかなど、この証拠が提起した未解決の疑問にも取り組みたいと考えている。

 今回の研究は、少なくともモロー氏にとって、1つの大きな疑問に答えてくれた。

「世界中のアリを集めてきた者として、私はいつもわずか5本の脚で歩き回るアリに驚嘆してきました」とモロー氏は語る。「まさか実の姉妹が脚を食いちぎっていたとは!」