iPS巡る紛争の記事があった。
山中教授が主にかかわって iPS細胞の研究をしている。
京都理化学研究所だったか。
山中教授は確か、マラソンもやっていた。
 その中に眼科医の髙橋政代先生がいた。
 いつか講演会を聞きに行ったことがある。
 神戸アイサポートセンターに行った時に
眼科の診察室の壁にすたっふの名前が書かれていた。
高橋政代先生の名前があったのを覚えている。
 挨拶くらいで話したことはない。
 患者自身の幹細胞から網膜細胞を作り出して
網膜に移植する。
網膜色素変性症や黄斑部偏性など網膜疾患に期待がかかっている。
 早く進めてほしいものであるが
あまり急いでもよくない。
 患者のIPS細胞から網膜細胞を作るので
拒否反応も防げる。
よくはわからないが
症例をたくさん作って実績を上げて医学会ならず社会的に認められなければならない。
高橋政代先生、がんばってください。
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クローズアップ:iPS巡る紛争和解 異例「特許なし使用可」
 iPS細胞(人工多能性幹細胞)関連の特許を巡って、元理化学研究所の高橋政代
氏らが国に「裁定」を求めた紛争は、高橋氏が条件付きながら特許を使用できる形
で、特許を持つ企業側と和解が成立した。発明者とはいえ、特許権を持たない人に無
償で使用を認める異例の決着だ。ただ、産学間でトラブルが相次ぐ中で、これが解決
のための先例になったとまでは言いがたい。
◇「勝者は国」、判断避け前例作らず
 和解が成立した5月30日、高橋氏は東京都内で記者会見を開き、ほっとした表情
を浮かべた。「一部でも特許を使えるようになったことをうれしく思う」
 対象の特許はiPS細胞から網膜細胞を量産するために必要な技術だ。和解によ
り、高橋氏らが自由診療で、患者本人のiPS細胞から目の網膜細胞を作ることなど
が30例まで無償で可能になる。
 一方で、特許権を持つヘリオス社(東京都)は保険適用で幅広い患者の治療を目指
している。和解による影響は「軽微」だとし、両者はうまく折り合えた形だ。
 他人のiPS細胞から作った網膜細胞を使った治療についても、特許と異なる技術
で開発を進めており、高橋氏は「やりたいことが全部できるようになった」と胸をな
で下ろした。
 だが「今回、本当に“勝った”のは国だ」と分析する専門家がいる。
 事情を探るため、まずは高橋氏が今回の紛争解決のため活用した制度をおさらいし
よう。
 発明などによる特許は財産権として保護され、権利を持つ人や企業が独占的に使用
できる。一方で「公共の利益」とのバランスを取るための規定も特許法にはある。
「公共の利益のために特に必要である時」には、特許を持たない人でも使えるよう国
に裁定を求められる。
 発明者でもある高橋氏は「患者に最適な治療を開発できる確信がある」と裁定を求
めた。良質な治療の早期開発は公共の利益として優先すべきだとの主張だ。
 だが1971年に現行の制度ができて以来、20件以上の裁定請求があったが、実
際に裁定が出された前例はない。今回、初めて専門家による審議までは行われたが、
裁定には至らなかった。和解については審議会委員から提案があったという。
 知財コンサルティング事業を行う「知的財産戦略ネットワーク」の秋元浩社長は
「特許法が指す『公共の利益』の中身について、なるべく判断したくないのが国の本
音だ」とみている。
 今回、和解に至るまでに3年かかり審議会は22回開かれた。ただ「公共の利益の
ための特別な必要性」の判断につながるような意見聴取はほとんどなかったといい、
その点に「もっとフォーカスしてほしかった」(高橋氏)との声が漏れる。
 秋元氏は「何をもって公共の利益というのかは曖昧だ。国の存亡が懸かった場合か
ら患者一人の病気の治療まで、幅広い内容で公共の利益を主張することはできる」と
指摘する。
 国が踏み込んだ判断を示すと前例となる。今後の特許紛争で、特許権を守れなく
なったり、逆に公共の利益を侵害してしまったりする事態は避けられるようにしてお
きたいと考えた可能性がある。「国は今回、何の判断もせずに済み、ほっとしている
のではないか」と秋元氏は推測する。
 和解の翌日、斎藤健経済産業相は閣議後の記者会見で、和解について「発明の利用
により産業の発展に寄与するという特許法の趣旨に合致したもの」と歓迎する姿勢を
示した。制度については、自発的な解決を図ることを前提としていると強調した。
◇産学間、相次ぐトラブル 実用化踏み切れず「塩漬け」の例も
 産学連携を巡り、企業と大学などのアカデミア(研究機関)の間でのトラブルが相
次いでいる。高橋氏と特許権者の企業との争いのほか、ノーベル生理学・医学賞受賞
者の本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授と小野薬品工業との訴訟が知られて
いる。だがこれらは「氷山の一角」だ。
 「研究者は自分が生み出した技術を自分の子どものように思い、最大限生かしたい
と考えている。気持ちは分かるが……」
 研究者ともめた経験のある医療ベンチャーの社長は両者の溝を明かす。「企業から
見れば、社会に生かすためには経済性も考えなくてはならない」。共同研究をしてい
たが実用化を巡って意見の隔たりが大きくなったという。
 産学が共同で取得する特許では、資金力のある企業側に有利な契約になりがちだと
指摘されてきた。研究費や特許の取得・維持にかかる費用を企業が出す代わりに、特
許の使用について無条件に独占する契約も見られる。
 その結果、せっかく特許を取得できても実用化に踏み切れず「塩漬け」になるケー
スが少なくない。経済産業省の調査によると、東京大と京都大が持つ特許のうち、活
用されているのは4割弱、旧帝大など有力大学計11校以外では、2割を下回ってい
る。
 高橋氏は自身が発明した技術を使えるよう経産相に特許法に基づく裁定を求めてい
たが、特許を持つ企業側と和解。特許権のない高橋氏に条件付きで使用が認められ
た。「契約だからしょうがないっていうことで泣き寝入りをしている人が非常に多
い。だが、一部でも覆す可能性があることは示せた」と意義を語った。
 東北大特任教授として知財戦略を含めた研究マネジメントに携わる弁理士の稲穂健
市氏は、今後の特許紛争への影響については「限定的」だとする。公共の利益を理由
とした裁定請求で審議が行われたのは今回が初めてで、審議にも3年という時間がか
かった。労力を考えると「同じ境遇の人がこの手段を取るか疑問」なためだ。
 ただ「産学連携や知的財産を巡るトラブルをなくすにはどうしたらいいか、皆が考
える機会になった」と振り返る。
 2021年の高橋氏の裁定請求と前後し、アカデミアは知財対策に力を注ぐように
なった。特許が活用されない状況が一定期間続いた場合には企業側と協議できること
や、第三者にライセンス供与できる規定を契約に盛り込む例も出てきた。
 国も手をこまねいているわけではない。23年には内閣府などが「大学知財ガバナ
ンスガイドライン」を策定した。幅広い用途に使える基本的な特許は大学単独での取
得を目指すことや、知財部門の体制強化や予算確保を定めた。
 高橋氏は、裁定請求を通じた知財に対する意識の高まりに手応えを感じ、その点で
の「目的はかなった」と述べている。一方で稲穂氏は「大学に知財の専門人材は少な
く、任期付きの採用では組織としてノウハウが蓄積しない。地方の国立大や多くの私
立大は体制や人材がまだまだ十分ではない」と指摘する。
 対策強化が求められる中、知的財産戦略ネットワークの秋元浩社長は「特に国費を
使っている研究については国民の財産だという意識を持って契約に臨むべきだ」と強
調する。
 ■ことば
◇iPS細胞特許を巡る裁定請求
 理化学研究所(理研)に在籍していた高橋政代氏は2014年、iPS細胞由来の
網膜の細胞を世界で初めて患者に移植した。理研、大阪大、ヘリオス社は共同でiP
S細胞から網膜細胞を量産する技術の特許を取得した。その後、開発の方向性の違い
から共同研究は打ち切られ、理研を退職後の高橋氏が21年に特許の使用を求めて経
済産業相に裁定を請求した。今年5月30日に和解が成立し、高橋氏が社長を務める
医療スタートアップ「ビジョンケア」(神戸市)が条件付きで特許を使えることに
なった。