児童館は福祉会館にあったが福祉会館の閉鎖後
サンシープラザに移転した。
その後、利用者が増えているという。
活発に活動している陽だ
若い人たちの活動の場が増えているのはいいことだ。


声取り入れ世代交流の場に

 三原市の児童館「ラフラフ」が2020年8月の移転オープンから、4年足らずで累計来館者が10万人に達した。移転前に比べ、中高生の来館者は12倍以上と大幅アップ。「気楽に立ち寄り、笑顔になれる場所」を目指し、設備や運営に中高生の意見を取り入れ、年齢の違う子どもたちが憩えるようにしたのが、にぎわいを生んだと言えそうだ。(西堂路綾子)

移転4年で来館10万人

 児童館は児童福祉法に基づく施設で、0~18歳未満と保護者が利用できる。ラフラフは18歳まで受け入れている。市によると、旧児童館で19年度の来館者は1日平均43・7人。「児童館は乳幼児や小学生向け」というイメージが強いためか、中高生は1・3人止まりだった。

 この反省から、JR三原駅前の「ペアシティ三原西館」へ移るのにあたり、中高生による委員会を作り、10回の会合を重ねて要望を募った。開館を午後7時まで延長し、学習室やボルダリングコーナー、ダンスなどの練習ができる大型鏡付きスポーツ室を備え、全室で無料Wi―Fi(ワイファイ)が使えるようにした。一方、授乳スペースやトイレ付き乳幼児ルームなど小さな子どもにも目配りした。

 運営でも中高生による料理教室や小学生への学習塾、乳幼児への読み聞かせなどを続けた結果、23年度の来館者は1日平均120人(年間3万6725人)と19年度の3倍近くになり、中高生は16・3人(同4981人)にまで増えた。

 今年3月現在、スタッフは中高生の「ティーンズ」64人を中心に、小学3~6年の「きっず」22人、大学生の「ユニ」101人、保護者らの「サポーターズ」12人の計約200人が世代を超えて活動する。昨年からは「赤ちゃんスタッフ」も加わり、0~3歳の親子25組が交流会や撮影会などで“奉仕”し、周囲に笑顔を届ける。

 県立三原高3年の生徒(17)は「勉強を教えたいとか映画を撮りたいとか企画書を出せば、ある程度は任せてくれる。ここで自分の得意分野を見つけた」と手応えを語る。中高生の塾で学んだ小学6年、4年の娘2人が「きっず」になった山下弘美さん(36)は「娘たちはお兄さんお姉さんに憧れ、背中を見て育っている。地域で出会った時も声をかけてくれてありがたい」と目を細める。

 4月4日のセレモニーで、10万人目の親子連れに「ティーンズ」や「きっず」の各スタッフが手作りした花束などが贈られた。お手製のくす玉が割れないハプニングもあったが、手でこじ開けて「祝十万人」の文字が現れると拍手が起きた。

 ラフラフ職員の佐藤祐枝(さちえ)さん(50)は「運営は中高生を信頼し、ほんの少し背中を押すだけ。ここなら失敗してもいい。これからも、赤ちゃんからお年寄りまでが笑顔で交流できる居場所になれば」と話す。