落語で、言葉として分かっていても、なかなかビジュアルなイメージが湧かないものがいくつかあります。

例えば「花魁道中」。

江戸吉原などで、客がまず引手茶屋(ひきてぢゃや)や揚屋へ行き、宴の時間を過ごし、芸者が行う芸を眺めたり、お酒を飲んだり食事をしながら時間を過ごしている間に、花魁は客の待つ揚屋へと向かいます。

揚屋への移動には、高さ18cm程もある黒塗りの大きな三枚歯下駄を履き、八文字を描くように歩いて進みます。
この移動のことを「花魁道中」と呼びます。
花魁道中で最も知られているのが八文字の歩き方。
八文字の歩き方にも2種類あり、京都で行われていた太夫の道中は内八文字。

足を前に進める際に、内側に踏み出し、円を描くように美しい曲線で歩きます。
内側に内側に足を進める歩き方により、品のあるおしとやかさを表しています。 

それに対し、江戸吉原の花魁道中で広まった外八文字は、外に足をおしとやかに歩く内八文字に比べて、より動きも大きく、色気があり、花魁の持つ華やかさを表現するのに適した歩き方だったと言われます。

まぁ、無駄に大金を使う見栄の世界。