に満たなかったと思います大相撲名古屋場所は、横綱照ノ富士の優勝でお開きになりました。

満身創痍の横綱でしたが、15日間、横綱らしい姿を見せてくれたと思います。
残念ながら、3敗を喫してしまい、優勝決定戦での賜杯でしたが。
翌日の会見で、今と昔の力士のレベルの違いについての外部コメントに対して、持論を述べたそうです。

「今の力士がああだこうだと言われることが多いんですが、逆に今の力士たちはみんな相撲に向き合う姿勢が昔より良くなっているからこそ、誰が優勝してもおかしくない大相撲になってきてるのではないかと思います。だからこそ、そういうことを言ってほしくない思いはあります。肌を合わせてるからこそわかることだと思う。見ているだけで、ああだこうだ言うようなことはやってほしくないです」。

「(横綱自身は)「入門してから14年間やってきて、今の力士が一番強いなと感じます。
今が一番、自分の中で理想的な相撲を取っていて、筋トレにしても今までよりも重量をあげれるようになりました。
今が一番強いかなと思う時があるにも関わらず、稽古場でも本場所でも昔と違って絶対に勝てる自信はないです」。
「稽古の番数が少ないとかいろいろなことを言われますけど、みんなそれだけではなく、他のところ。例えば治療とかトレーニングとか、そういったもので、ものすごい頑張っていると聞きます。だから簡単に勝てるわけではないということは常々、感じます」。

よく、訳知り顔なオヤジたちが、評論家面しながら偉そうに「今の若者は」とか「昔に比べると」などのフレーズを言いますが、私も昔の人ながら、こういう思いやコメントを聴いて違和感を覚えます。
時代や世相が大きく変わっている中で、単純に一部露出した現象や事案などを、自分たちの時代の、自分たちの主観的な基準で比較して、自分たちの時代を礼賛したり、懐かしがったりしているのは、どの時代の年寄もそうだったんでしょうが、実に醜いものです。
私は、照ノ富士のコメントにシンパシーを感じます。
そもそも、昔と比べて、力士が大型化(国際化)していて、さらに昔のような八百長のないガチンコ時代になり、映像技術の発達で微妙な勝負も明確に判断出来るようになっています。
私の記憶が確かなら、あの大横綱大鵬ですら、体重は150キロに満たなかったと思います。
あの頃は150キロを超えたら巨漢力士でした。
因みに、現在最新の体重ベスト10は以下の通り。

大の里181キロ、照ノ富士も176キロあります。
必ずしも、大きければ強い訳ではありませんが、フィジカルを単純に比較したら、昔の力士は到底敵わないと思います。
落語の世界でも、誰が一番上手かったか?
聴いたこともないのに「昔の名人は凄かった」って。
圓朝や燕枝や圓喬は、確かに上手かったでしょう。
しかし、それを現代の噺家と比べるのは不可能だし、そもそも意味がないと思います。
「強かった」「上手かった」までだけで、比べることは意味がなく、比べる者の自己満足や独断に過ぎないと思います。
谷風は強かった。
双葉山は強かった。
大鵬は強かった。
千代の富士は強かった。
大嫌いだけど、一応白鵬も強かったみたい。
それが事実、それでいい。