ウェザーニュースで見つけました。
日本人の細かな感性で、色だとか、陽気だとか、心持ちなど、微妙な違いの多くの表現があります。
雨の日が続くと、うっとうしい気持ちになりがちですが、梅雨時など、夏の雨を表す言葉もたくさんあるようです。
気持ちが晴れやかになったり、考えさせられたりするような夏の雨の名前があるんですね。
「さみだれ」と読むことが多いですが、「さつきあめ」とも読みます。
また、梅雨のことを表すこともあります。
「五月雨」は夏の季語でもあります。
~五月雨をあつめて早し最上川~ 松尾芭蕉
~さみだれや大河を前に家二軒~ 与謝蕪村
②涼雨(りょうう)
「涼」は「涼しい」の「涼」なので、「涼雨」は文字どおり「涼しさを感じさせる(夏の)雨」のこと。
涼雨なら、ありがたいと思う人もいるでしょう。
③夕立(ゆうだち)
「夕立は馬の背を分ける」という諺もあります。
④驟雨(しゅうう)
岸田国士に戯曲「驟雨」、藤沢周平に小説「驟り雨(はしりあめ)」があります。
「秋雨」は「あきさめ」のほかに「しゅうう」とも読みますが、こちらは文字どおり「秋に降る雨」。
「驟雨」が季語の俳句を一句、紹介しましょう。
~包丁を持つて驟雨にみとれたる~ 辻桃子
⑤白雨(はくう)
歌川広重の浮世絵「東海道五十三次 庄野白雨」には、突然の夕立に旅人たちが慌てている様子が描かれています。
⑥黒雨(こくう)
雨が黒いわけではなく、雨を降らせる雲が黒っぽく見え、空も暗く黒く見えるため、黒雨というようになったようです。
同音異字の「穀雨」もありますが、こちらは「春雨(しゅんう/はるさめ)が降って百穀を潤す」の意で、二十四節気の一つでもあります。
他に「色」が付いた雨を表す言葉に、「紅雨(こうう)」「緑雨(りょくう)」などがあります。
⑦氷雨(ひさめ)
「氷雨」には、二つの意味があります。
一つは「雹(ひょう)、または霰(あられ)」の意で、もう一つは「霙(みぞれ)、または霙に近い冷たい雨」の意。
氷雨を「雹(ひょう)」「霰(あられ)」の意味で用いた場合は夏の季語になり、「霙」「霙に近い冷たい雨」の意で用いた場合は冬の季語になります。
このような梅雨入り前の長雨のことを「卯の花くたし」ということがあります。
「卯の花」はウツギ(空木、卯木)の花とも。
「くたし」は物を腐らせることを意味する名詞で、動詞の「くたす」から派生しました。
鎌倉時代初期の武士、曽我祐成(そがすけなり)と時致(ときむね)の曽我兄弟は1193(建久4)年5月28日、父の敵をとるべく、源頼朝の供をしていた工藤祐経(くどうすけつね)を斬り倒しました。
これを聞いた祐成の愛人、虎御前は涙を流し悲嘆に暮れたと伝わります。
ここから5月28日に降る雨は「虎が雨」といわれるようになり、夏の季語にもなりました。
曾我兄弟の曽我から「曽我の雨」ともいいます。
⑩青時雨(あおしぐれ)
晩秋から初冬にかけて断続的に降る小雨を「時雨」といい、冬の季語にもなっています
「時雨」に「青」がつくと、意味が大きく変わって、木々の青葉についた雨がぱらぱら落ちることをいいます。
時雨は寒々しいですが、青時雨なら、ありがたく感じることもあるでしょう。
~脳天に命中するも青時雨~ 清水雪花
・・・・「夏の雨」だけでも、表現が豊かにあることに気がつきます。
日本語は深い。