落語っ子連・三流亭の初稽古に向かっています。
毎日伝えられる、能登半島地震地震の被害と復旧が気になります。
番組は、お正月らしい噺でした。
◇「かつぎや」 八代目春風亭柳枝
呉服屋の五兵衛だんなは、大変な縁起かつぎ。
元旦早々、番頭始め店の者に、「元旦から仏頂面をしていては縁起がよくない」「二日の掃き初めが済まないうちに、箒に触るのはゲンが悪い」などと、うるさく説教してまわるうち、飯炊きの作蔵がのっそりと現れた。
「魔除けのまじないになるから、井戸神さまに橙を供えてこい」と、言いつける。
「ただ供えるんじゃない。歌を添えるんだ。『新玉の 年立ち返る あしたには 若柳水を 汲みそめにけり、これはわざとお年玉』。いいか」
間もなく、店中で雑煮を祝う。
そこへ作蔵が戻ってきた。
「ご苦労。橙を供えてきたか」
「りっぱにやってきたでがす」
「なんと言った」
「目の玉の でんぐりげえる 明日には 末期の水を 汲みそめにけり、これはわざとお入魂」
「ばか野郎」
ケチを付けられて、だんなはカンカン。
そこで手代が、餅の中から折れ釘が出てきたのは、金物だけに金がたまるしるしと、おべんちゃら。
作蔵が、またしゃしゃり出た。
「そうでねえ。身上を持ちかねるというこんだ」
そうこうするうち、年始客が来だしたので、だんな自ら、書き初めのつもりで記帳する。
伊勢屋の久兵衛というと長いからイセキュウというように、縮めて読み上げるよう言いつけたはいいが、アブク、シブト(=死人)、ユカンなど、縁起でもない名ばかり。
それぞれ、油屋久兵衛、渋屋藤兵衛、湯屋勘兵衛を縮めたものだから、怒るに怒れない。
そこへ現れたのが、町内の皮肉屋、次郎兵衛。
ここのだんながゲンかつぎだから、一つ縁起の悪いことを並べ立て、嫌がらせをしてやろうという趣向。
案の定、友達が首をくくって死んだので弔いの帰りだの、だんながいないようだが、元旦早々おかくれになったのは気の毒だだのと、好き放題に言った挙げ句、「いずれ湯灌場で会いましょう。はい、さようなら」
だんなはとうとう寝込んでしまう。
なお悪いことに、ゲン直しに呼んだはずの宝船絵売りが、値段を聞くと一枚シ文、百枚シ百文と、シばかりを並べるので、いらないと断ると、「あなたの所で買ってくれなきゃ、一家で路頭に迷うから、今夜こちらの軒先を借りて首をくくるから、そう思いねえ」と脅かされて、踏んだり蹴ったり。
次に、また別の宝船屋。
今度は、いろいろ聞くと家が長者町、名は鶴吉、子供の名は松次郎にお竹と、うって変わって縁起がいいので、だんなは大喜び。
たっぷり祝儀をはずむ。
「えー、ごちそうに相なりまして、お礼におめでたい洒落を」
「うん、それは?」
「ご当家を七福神に見立てましょう。だんなのあなたが大黒柱で大黒様、お嬢さまはお美しいので弁天さま」
「うまいねえ、それから?」
「それで七福神で」
「なぜ?」
「あとは、お店が呉服(五福)屋さんですから」
・・・まぁ、こんな旦那がいたら、すぐに店が傾くと思いますが・・。
ところで、今日の音源は、私が生まれる3日前に放送されたものだそうです。