小噺に「酒の粕」という、与太郎の噺があります。
これを地で行ったような話があったようで・・・。

かす汁を10杯以上食べたという男が、酒気帯び運転?
・・・まぁ、そんなこともあり得るのかもしれませんね。
「源さ~ん。源さ~ん。」
「おう、何だ与太郎。何だい。」
「あたいの顔はねえ、変だろ。」
「うまいことを言いやがったねぇ。 お前の顔なんぞ、いつ見たって変だよ。」
「それが今日は、ぽぽっと赤いでしょう。」
「あ~、言われてみればあけえや。どうしたい。悪い魚でも食ったか。」
「いや魚に当たったんじゃないよぉ。 あたいはねぇ、お酒ぇ飲んだ。」
「お前がぁ?本当かよ。 酒を飲んだぁ。景気が良くなるねぇ。どの位やったぃ。」
「どの位ってねえ、大きい欠片(かけら)が、この位。 小さいのがこの位でねぇ、厚みがこの位。」
「それは、おまえ、酒の粕だ。」

「んわぁ。見たなぁ。」
「見なくたって、分かるよ。酒に欠片ってえのはないや。 なぁ、どの位飲んだって訊かれたら、これ位の茶碗で ぐぅーっと二杯とか三杯とか言やぁ酒らしいよ。」
「はぁ~。なるほど。だんだん、うまくなっちゃった。どうも、ありがと。」
「おばさ~ん。」
「何だい。」
「あたい、お酒飲んだよ。」
「やだねぇ、この子は。今からお酒なんぞ飲んじゃあいけませんよ。」

「いけませんよっていうのは、言うこと違うぞ。どの位やったって訊いとくれよ。」
「つまらないことを頼んでるねぇ。どの位飲んだんだい?」

「この位の茶碗でねぇ、ぐぅーっと二杯とか三杯とか。」
「あーりゃ、五杯も飲んだのかい。冷(ひや)は毒だよ。お燗はしたかい?」
「いいや、焼いて食べた。」
・・・お酒を一口舐めただけで、顔が真っ赤になる人がいます。
さらに上には、お酒の匂いを嗅いだだけで赤くなる人がいます。
中には、「酒」という言葉を聞いただけで酔っ払う人もいるようですが。