【強情灸】
峰の灸
(ご)強情者
(ひ)ひと山もぐさ
(や)焼けてチリチリ
(く)苦悶して
主人公の男が友人の男に会う。友人は、とんでもなく熱いがよく効くという評判の店に灸を据えてもらいに行ったことを語り、その熱さに耐えたことを自慢する。
自慢された男は面白くない。
「たかだか灸ぐらいで威張るな」と、奥からもぐさを持ってきて、腕に山盛りに積み上げると点火する。
熱さに歯を食いしばって耐えながら「石川五右衛門なんか、油で茹でられたのに平気で辞世の句詠んだぞ」などと言って強がるが、とうとう我慢しきれなくなってもぐさを払い落としてしまう。
なおも「五右衛門……」と唸っている男に友人が「五右衛門がどうしたって?」と意地悪く声をかけると男が「五右衛門もさぞ熱かったろう」。
・・・やせ我慢は身体によくありません。