今日の稽古で師匠から、こんな提案がありました。

師匠は、昭和15年の深川生まれです。
終戦の直前、一家で現在もお住いの豊島区に転居して来たそうです。
高座でも時々触れていらっしゃいましたが、「親父が予想していた訳ではないだろうが、あの東京大空襲の直前だったので、我々家族は空襲の犠牲にならずに済んだ。もし、あのまま元の場所に住んでいたら、私の命もそこで終わっていたと思う・・」と。

まだ幼児でしたから、大空襲もかすかに覚えている程度だそうですが、恐らく、親戚や知人の多くが亡くなっているのかもしれません。

そんな中でのロシアのウクライナ侵攻を、物凄く憂えています。
そこで、落語を指南している我々アマチュアグループに、支援募金を呼び掛けることにしたそうです。

題して「一席を一灯に 一灯を一援(一円)に」。
一度に支援金を集めるのではなく、稽古をした後に、それぞれのささやかな気持ちを積み上げようというもの。
稽古の都度、今日の稽古は良かったとか、ちょっと課題が残ったとか・・・、それぞれの気持ちを、貯金箱のような募金箱を用意して、これに投げ銭のように入れて溜めて行こうと。
支援の方法は色々あるし、人それぞれの思いや拘りもありますから、あくまでも個人レベルで参加すれば良い・・・。

ということで、私は、今日は、ポケットに自動販売機でお茶を買ったおつりがあったので、ポケットの中のジャラジャラ全額を今日の分にすることにしました。
金額の多寡云々ではなくて、師匠の気持ちを尊重したいし、継続できるものだと思いましたから。
師匠の創作落語の中で、昨年の我々の「深川三流亭」でネタ下ろし(初演)してくださった「半分っこ」は、深川の駄菓子屋を舞台にした、空襲の悲劇に触れた、師匠の微かな記憶を元にした人情噺です。

ここのところの一連のウクライナ侵攻が、この噺を創作した師匠の地雷を踏んでしまったということです。
どんな方法があるのか、どうしたら戦争をやめさせることが出来るか・・一市民として、憤り、怒り、祈り、何かしないといけません。