【蕎麦清】
「盛り蕎麦を何枚も食べる」とかけて
「定年でリタイヤする」と解く
その頃は心は「退職(大食)です」
「大食自慢の人」とかけて
「定吉のお店での決められた仕事」と解く
その心は「フードファイター(風呂沸いた?)」
旅商人の清兵衛は、自分の背丈だけのそばが食べられるというそば好き。
食い比べをして負けたことがないので、もう誰も相手にならないほど。
ある時、越後から信州の方に回った時、道に迷って、木陰で一休みしていると、向こうの松の木の下で狩人が居眠りをしている。
見ると、木の上で大蛇がトグロを巻いて、あっと言う間に狩人を一のみ。
人間一匹丸のみしてさすがに苦しくなったのか、傍に生えていた黄色い草を、長い真っ赤な舌でペロペロなめると、たちまち膨れていた腹が小さくなって、隠れて震えていた清兵衛に気づかずに行ってしまった。
「ははん、これはいい消化薬になる」と清兵衛はほくそ笑み、その草を摘めるだけ摘んで江戸へ持ち帰った。
これさえあれば、腹をこわさずに、無限にそばが食えるので、また賭けで一もうけという算段。
さっそく友達に、そばを七十杯食ってみせると宣言、食えたらそば代は全部友達持ち、おまけに三両の賞金ということで話が決まり、いよいよ清兵衛の前に大盛りのそばがずらり。
いやその速いこと、そばの方から清兵衛の口に吸い込まれていくようで、みるみるうちに三十、四十、五十……。
このあたりでさすがの清兵衛も苦しくなり、肩で息を始める。
体に毒だから、もうここらで降参した方が身のためだという忠告をよそに、少し休憩したいからと中入りを申し出て、皆を廊下に出した上、障子をピタリと閉めさせて、例の草をペロリペロリ……。
いつまでたっても出て来ないので、おかしいと思って一同が障子を開けると、清兵衛の姿はない。
さては逃げだしたかとよくよく見たら、そばが羽織を来て座っていた。
・・・最近流行のフードファイターも真っ青?