こういうのを「疑心暗鬼」って言うんでしょう。
【河豚鍋】
「河豚の料理」とかけて
「ジャンボ宝くじ」と解く
その心は「食わなきゃ(買わなきゃ)当たりません」
これはよくあるベタなパターンでした。
「下関」とかけて
「一流ファッションブランド」と解く
その心は「高級なふく(河豚・服)が自慢です」
関西では、ふぐのことを「てつ」と言うそうです。
ふぐ刺しは「てっさ」、ふぐちり鍋を「ふぐちり」・・・。
フグ食禁止令が出されていた江戸時代のころに、大きな声でフグを食べようということができず、隠語として「てっちり」がうまれたそうです。 その語源は、フグは強烈な毒をもっており、それに”あたると死んでしまう”ことから、「鉄砲」と呼ばれていましたので。
・・・これも有名な話。
名産地の下関では、ふぐでなくて「ふく」と言うそうです。
福として縁起をかつぐというのが有名ですが、「ふぐ」という音の響きから連想される、「不具」とか「不遇」というような縁起のよくない言葉を避けるためだとも言われています。
・・・これも有名か。
川柳に「オツですと言うがフグには手を出さず」と言いますが、寒い季節にはピッタリの食べ物です。
フグは旨いことは分かっているのですが、当たるという事があります。「フグは食べたし命は惜しし」と言われます。
当たる方にはなりたくありません。
幇間の繁が久しぶりに顔を見せた。
「来れなかったのはお客さんと熱海に行きまして、良い湯だなと言ったら、それでは行こうと北海道は登別温泉に行きました。冷えますな~と言ったら九州別府温泉に行きました。せっかくここまで来たから秋田に行きまして、それから鹿児島の指宿に行きました。あれから鬼怒川に出まして鳥取に・・・」、
「お前、話が滅茶苦茶だよ」、それで、お土産を持ってきた。
それでは、一緒に食事をしようと、ご主人は鍋を出した。
「でも何ですか」、
「魚だ」、「魚は何ですか」、
「食べれば分かる」、
「食べる前に教えてください」、
「テツだ」、
「これは鉄では無く土鍋ですな」、
「テツと言えば ”フグ”だ」、
ご主人に勧められたが、箸が出ない「フグを食ったらフグ死にます」、
「大丈夫だ。しっかりした所の料理屋から取り寄せたものだ。お前に食べさせてあげたいのだ・・・」、
繁もご主人もお互いに恐くて箸が出ない。
何と言われても、相手が食べるまでは安心して食べられない。
繁は塩辛があれば充分だと箸を付けようとはしない。
そこに乞食がお余りをもらいに勝手口に来ていた。
ウルサいから帰えしてしまえというご主人が、何かひらめいて乞食を引き留めた。鍋の中の当たりそうな部分を沢山入れて持たせた。
その後を付いて行ったが、乞食は気持ちよさそうに寝ていた。固まっているのでは無いので、2人は安心して食べ始めた。ネギも豆腐もフグも、旨い旨いと全部平らげ、残りは雑炊にして綺麗に平らげてしまった。
2人とも満足して次に又食べに行こうと話をしていると、裏で騒がしい。
聞くと先程の乞食が来ている。お余りをくれと言っていて動かないというので、主人が自ら出て行った。
「お余りがあったら下さい。先程もらったのでもイイのです」、
「先程の鍋は全部食べてしまって、もうない」、
「身体の方は何ともありませんか」、
「バカを言え。一流料理屋から取り寄せたものだ。何でも無いわ」、
「そうですか、それでは私も安心して、ユックリ頂戴を致します」。
・・・時事のなぞかけをおまけに。
「高級な河豚鍋」とかけて
「大急ぎで接種が認められた新型コロナウイルスのワクチン」と解く
その心は「先の人の様子を見てからにします」
・・・これが人情。