この日は家族面会ができるお散歩を予定しており、次男と長女と義父母が来てくれたが、あいにくの雨天で、正面玄関を出たほうにある花壇など当初行こうと思っていたところには行けず、裏手の別棟ロビーでゆっくりした時間を過ごすことになった。

人工呼吸器を一緒に移動して急なトラブルに対応できるようにするため、主治医やME(臨床工学士)さん、CLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)の方が同行してくれる。

そこではタブレットを持って行って、クラスメートの応援動画などを鑑賞した。

 

それから、晴れていたら屋外でシャボン玉遊びをしようと思って道具を持ってきていたところ、別棟の奥の搬入口を出たところに屋根のあるスペースがあるということで、そこに出てシャボン玉遊びもすることができた。

長女は引き金を引くとシャボン玉がたくさん出てくるおもちゃを使い、次男は柄の長い一度にたくさんのシャボン玉を作れるおもちゃを持って駆け回って遊んだり、シャボン玉を路面に吹きつけてたくさん溜めてはしゃいでいた。

 

そうちゃんとも、自宅近くの公園でシャボン玉遊びをしたことがあったことを思い出す。

 

彼は外遊びが好きで、公園での思い出に事欠かない。

お砂場では、山を作ったり水を汲んできて池を作ったり、100均の型を使って海の生き物を作ったりした。

滑り台では踏切のように手を動かしてあげて、それにぶつからずに滑るのを楽しんだり、頭から滑ったり、滑る所を逆走で登ったり、終いには手を使わずに登ったりもしていた。

ブランコは当初、後ろに引っ張ってあげていたが、自分で漕げるようになるとひっくり返りそうになるくらいに大きく漕いで、前方の木の枝を蹴ろうとしていた。

中央の遊具では、アスレチックのように様々な登りのルートがあったが、そのすべてをクリアして喜んでいた。鬼ごっこをして高いところに登られると大人が捕まえるのは至難だった。

ターザンロープも対象年齢よりずっと前から乗るようになって、自分でロープを持って帰って台に上がれるようになり、距離を長くするために出来るだけ遠くから乗るように工夫していた。

鉄棒は地球回りが得意だった。逆上がりも見せてくれた。

グラウンドではサッカーのPKをしたり、バスケで1on1をやったり、そうちゃんの友達を含めてサッカーをやったこともあった。

(バスケはスラムダンクの漫画にはまったのがきっかけで、登場キャラの名前を「あかぎたけのり」とか「みついひさし」とかちゃんと氏名で呼ぶのがこちらは面白かった。)

 

公園の周囲は木がたくさんあったから、夏の時期は蝉取りもした。

最初の頃はなかなか捕まえられなかったが、成長して柄の部分を延ばせる網も手に入れた昨年は、1日に10匹も捕まえられるほど上達した。

鬼ごっこにはまっている時期もあって、よく走らされた。

 

彼は走るのが好きで、よく競走したがった。

自宅マンションのエレベーターを出たところから家の前まででも、私に追いかけてこいとばかりに振り返り、笑いながら逃げるように走ったりもする。

大抵の場合、それに付き合って走っていた。

 

あんなに活発で元気溌剌としていたそうちゃんが、今は意識不明で動くこともほぼない。

現実のそうちゃんの姿を見て、流石に走る姿はもう望めないだろうと思うと悲しくなる。

それでも。

何らかの回復を今後も見せてほしい、一緒に頑張ろう!と思い、また、ふさふさの髪の毛とともに頭を撫でる。

 

合計1時間程度、お散歩を楽しんで病棟に戻った。

 

翌日、副鼻腔炎対策のための点鼻薬を開始、漢方も順次進めていただけることになった。